冷却油槽艦 ノセジヴィック級

加賀函館

歴親沌保存帝国の内航用冷却油槽艦。
国内での甲化錬液(※)輸送専用に使用されている小型タンカー。
自衛用に機関砲を搭載してはいるが、あてにならない。内航用だが、時化に見舞われなければ外洋航行も可能ではある。

本艦の設計を流用して、海軍が時空転送艦を建造しており、外国に派遣された本艦型の7割が時空転送艦である。

種別:冷却油槽艦
全長:200m
艦幅:30m
基準排水量:40000t
防御:対14cm砲弾防御
速力:25kt
武装:
35mm近接防御機関砲

補助:
RAS
防御重力場
重甲化錬液安定化装置
軽甲化錬液安定化装置

搭載:
エレボニア級旧式神兵 20体

積載:
甲化錬液専用タンク(15000t) 4基
旅客 10名

※甲化錬液

歴親沌保存帝国及び、日本共和国、シュヴァルツ・ラント連邦帝国で使用されている特殊用途用冷却油の事。

基本的に、重甲化錬液と軽甲化錬液が存在するが、用途、効果、成分、性能、見た目は全く異なっている。

・重甲化錬液(じゅうこうかれんえき)
レーダーアイシステム(RAS)冷却用に開発された冷却用潤滑油。
色は赤黒色で、血液の色を彷彿させる。どちらかと言えば、静動脈を流れる血液の色に近いか。
加熱し続けても発火せず、爆発も気化も沸騰もしない。また、接触した物質から上限なく熱エネルギー(分子の運動エネルギーも含む)を奪う性質があり、高い冷却性能を有する。
ただし、冷却し過ぎてしまうと言う問題もあり、保存には金属、非金属の容器では破壊してしまうことから、タンク内にガラスを吹き付ける加工(琺瑯)や繊維強化樹脂などで覆う、タンク自体を外部から加熱し続けると言った対処が必要になっている。
吸収した熱は、一か所には留まらず全体でプールされるため、運用する量が多ければ多いほど、排熱装置の負荷を理論上は小さくすることができる。
重甲化錬液が吸熱できるのは、固体の物質のみであり、液体、気体からの吸熱効率は極端に悪くなっている(固体に見えるが実は液体であるガラスや、表面が液体の膜で覆われた氷は冷却されにくい)。ただし、生体の表面からは吸熱できるため、触れてしまった箇所は瞬時に凍死してしまう。その為、熱伝導率の低い防護装備が必要となる。
が、重甲化錬液の分子構造は非常に強固で、その大きさも肉眼で見えるほど大きい。比重も水より重い為、水中で保管される。
分子構造が大きく、繊維に染み込まず粘性も無いと言っていい程であったため、旧日本軍では木綿の袋に入れて保管していた。
吸熱性が強力過ぎるため、冷却するためには空冷や液冷と言った方法が利用できず、水中で保管して放出するのを待つしかなかったが、軽甲化錬液の登場によって問題は解決している(軽甲化錬液は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換して吸収する特長を持っている。重甲化錬液は、電気をため込むことができない)。
冷却すると言う特長を生かすためには、莫大なエネルギーを発生させる装置が無ければならず、民生工業用に使うにはオーバースペックであったため、艦船型超兵器機関の冷却が関の山だった。
ただし、日本共和国は高速増殖炉用冷却液としての研究を行っており、その実験中に放射性廃棄物を重甲化錬液内に投入すると、放射線が一切全て失われると言う結果を残している(この実験は、原子炉で使われる核燃料棒の冷却を重甲化錬液でできないか調べるためのものだったが、結論としては失敗ということになる)。

現在でも、軍用でのみの使用用途しかないことから、一般に流通することはない(流通させるためには、一級錬液取扱作業許可証と一級錬液取扱責任者が必要)。

・軽甲化錬液(けいこうかれんえき)
日本共和国が高速増殖炉の研究課程で生み出した冷却油。
色は薄緑色で瑞々しいマスカットの様な色をしている。ただし、生物にとっては常温でも有毒である。
加熱し続け、液体温度がセルシウス度で1000度を越えると気化する。これを吸い込むと死に至る事から交換器などを介して、排熱(正確には排電)することが義務付けられている。
軽甲化錬液は、熱エネルギー及び運動エネルギーを電気エネルギーに変換して吸収すると言う特長を持っている。ただし、重甲化錬液と違い蓄電容量(吸熱量)は決まっており、一立方メートル当たり1.2テラワットとなっている。
また、重甲化錬液と違い貯めこんだエネルギーを排出させることが簡単にできるという特徴を持っている。つまりは、軽甲化錬液に直接電極を差し込み、回路を形成すればいいのだ(ただし、電圧、電流は一定ではない)。
電気エネルギーを吸収する為、生体が一定量以上の軽甲化錬液に接触した場合、瞬時に生体電流を奪われ即死する(気化したものを吸引した場合は、成分によるもので死亡する。解毒薬は存在しない)。
劇物ではあるが、保管が容易で一般用途でも使用が可能であるため、流通量は遥かに多い。

開発した日本共和国では、戦闘機人の冷却油としてだけでなく、航空機用強制循環液冷エンジンの冷却液、自動車用冷却潤滑油、大容量コンデンサ充填液、超兵器ノイズフィルターのフィルター材などに使用されている。
歴親沌保存帝国では、ジェシカ級系列の戦闘機人の液層防御に使用されるほか、兵器のモスボールにも使用される。
シュヴァルツ・ラント連邦帝国では、熱エネルギーを電気エネルギーに変換すると言う特性を利用して、小型地熱発電機として大々的に流通している。

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2018-12-09 07:34:08 +0000