通勤型として設計されたキハ35だが、肝心のエンジンが非力な為にラッシュ時において出力不足が問題となった。交換しようにも他社の日本製のエンジンは出力・信頼性の両方があてにならないというお粗末な状況。そこでこの900番台はオールステンレス化による軽量化を試みた試作車両。試作とはいえ既存の35型をベースとしており信頼性は高かった。制作はステンレス車を売り込んだ東急車輛が行い10両が配備され、様々な運用試験を行ったところ様々な問題点が浮かび上がってきた。高コストの車体で3tほどの軽量を果たしたものの、思ったほど出力不足は改善せずに費用対効果の面で割に合わなかった。それに無塗装の車体が塗装職人の職を奪うと言う突き上げと、ステンレスの酸化皮膜が自らが出す排煙と化学反応してしまい汚れるという問題も起こった。ちなみに当時はこの洗浄法が確立されておらず国鉄は「ステンレス車は汚れて使えない」という変な認識を持つにいたる。また、保線部門からの視認性の悪さを指摘され車体前面に赤ラインを追加で書き込んでいる。ステンレス車体ゆえか他のキハ35系のように車体前面を強化する事はしなかった。その後、少数派の900番台は塩害に強い車体を買われて房総東線・房総西線に投入され、電化に追われる形で八高線・足尾線へ転属し、さらに相模線に転属して活躍した。901号車は現存する唯一の900番台車で碓氷峠鉄道文化むらに静態保存されている。
2009-11-16 14:46:33 +0000