遅くなりましたがこちら【illust/70876941】の続きです。こちら【illust/70799032】の辻エンカやこちら【illust/71056750】の合流展開も少し汲んでます。
ネルはシルクの捜索を優先し、一先ずこの場を離れます。ただラクゥさん達へのせめてもの協力として、辺りにいる「寄生するもの」をスーパーアクアトルネードで一掃させていただきました。
今後のネルとも引き続きエンカ、合流等歓迎いたします。
不都合等ありましたらご連絡ください。
100マスパズル【illust/70486494】参加!
末尾…64
お借りした方
ラクゥさん【illust/70892179】
テンロさん(うばうもののすがた)【illust/68146675】
(回想で少しだけ)テツジンさん【illust/70613787】
ネル【illust/68115342】
シルク【illust/69858546】
―――――
……どうしてだろう。
もうすっかり忘れてたはずの昔のことを、今頃になって次々思い出すんだ。
まるで今起きてることのようにはっきり目の前に浮かんできて、現実を突きつけるかのように聞き飽きた台詞を囁き続ける。
邪魔者、余所者、異端児。言葉は全て違っても、それらが意味するものはたった一つ。
僕の居場所なんて、もう、どこにも無い。
なのに。
(ただ放っておきたくない、そう思った)
どうして今頃になって、野生なんかがそんな言葉を吐くんだろう。
(もしキミが本当にレトナが嫌いになったと言うのなら、同盟にいい群れがある)
――ああ、鬱陶しい。
鬱陶しいし、わけがわからない。僕なんかを気にかけたって、あいつにメリットがあるわけでもないのに。
ふと昔どこかで聞いた単語を思い出す。こういうのがお節介というやつなんだろうか。
(もし、キミがこの間叫んだ事を今も信じているというのなら。後悔は、のこ――)
そう言いかけたところで「うばうもの」が吹き飛ばされた先を見れば、あいつは姿を変えて襲撃者に立ち向かっていくところだった。その隣にはいつの間に駆け付けたのか、群れの仲間らしき同じ姿の奴もいる。
自分も加勢する、という選択肢も無くはない。こっちは会話を邪魔されたのだし、あいつには色々と助けられたのだから。
けど、それ以上に僕にはやらなきゃいけないことがある。後悔を残すなと言ったのはあいつ自身だ。
関係無い。あいつらの会話から察するにどうやら仲間内での揉め事のようだし、僕がそこに加わる道理も無い。けれど。
「……ああっ、もう!!」
こうしている間にも、あいつらや僕の周りには次々と「寄生するもの」が集まってくる。全く、さっきも青いポケが豪快に奴らの一群を吹っ飛ばしていったってのに、どこからこんだけ湧いてくるんだ。
ともかく、こんなところで足止めを食らっているわけにはいかない。一つ息を吸うと、僕は奴らへ向けて力一杯尾鰭を振るった。
「どけえぇっ!!」
首元に密かに下げていた宝石が、僕の叫びに共鳴する。いつだったかスッチーがくれた、一度だけすごい技を出せるという宝石。
それが一際輝くと、僕の起こした水流は瞬く間に轟音響かせる大渦へと変化し、辺りの「寄生するもの」達を丸ごと飲み込んでいった。
水の流れが収まるのを待つ間、力を失った「寄生するもの」達が僕の周りにぼとぼとと落ちていく。
「……ひとまず、邪魔者は片付けた。僕はもう行くからな」
伝わったかはわからないけど、最後にそれだけ言ってから僕はまた進み始めた。今までのお節介だって「うばうもの」達が勝手にやったこと。そうは思っていても未だ僕の中にはもやもやした思いが残っていて、どうすれば良いのかわからなかった。
誰かに助けてもらったのなんて、生まれて初めてのことだったから。
(……とにかく、シルクを探さなきゃ)
いつに無く暗い景色の中、僕は水の流れに目を凝らす。
あの色ならどんな暗闇でも見つかるはずだと考えたけど、色のせいで虐げられてきた僕らがその色に助けられるなんて随分と皮肉な話だ。
僕と同じ異端な姿、けれど僕と同じ目には遭ってほしくない、僕が守らなきゃいけなかったあの子。
(いいや、守るんだ。今からでも探し出して、きっと――)
それだけで良い。今はそれだけを考えて進まなきゃ。
余計な記憶に囚われそうになる前に、僕は一度頭を振ってからまた勢いよく泳ぎ出した。
2018-10-08 02:52:08 +0000