ネルとカガミの最終章イベ【illust/70486502】ログインとなります。
現在は持ち主であるレトナ、スッチーの屋敷の庭にいます。ここから徐々に動いて各キャラの行動方針に繋げる予定。
※こちらの100マスパズル【illust/70486494】にも参加。
ID末尾:73(被った……だと……)
カガミ(シンディ)【illust/70490624】
ネル(カモミール)【illust/68115342】
シルク【illust/69858546】
―――――
「おい寝坊助共!! 早く『巣』の中へ戻れ! ヤバい奴が――」
ありったけの力で叫ぶカガミの声も、今のネルには届いていないようだった。やがてその場に駆け付けたカガミは、ようやく今起きている事態に気付く。思わず自分が息を飲んだのが、微かに聞こえる音でわかった。
ネルとそのレトナ、スッチーの視線は今、目の前にいる得体の知れない存在に釘付けになっていた。傍らに幼いシルクもいるが、彼女は微動だにしない同居人達を不安そうに見上げるばかりだ。
そしてカガミもまた、同様に「それ」に目を奪われる。
恐らく生き物であろうそれは、白くガラスのようでいてしなやかな身体を持っていた。これが群れの者達から伝え聞いた「寄生するもの」か。
後で聞いた話によるとネル達の目の前に突然現れたらしく、その後は何をするでも無くただその場をふわふわ漂っていたそうだ。だがそれは見ているだけでこちらを不安にさせるような、底知れない何かを纏っていた。
ふと我に帰ると、既にその生き物は姿を消していた。だがしかし、残された薄ら寒い空気はカガミの胸に纏わりつき、その心をざわつかせ手足を震えさせる。
「ぁ――」
息が上がる。
心臓が強く鼓動する。
あの美しくも毒々しい姿が、今も鮮明に脳裏へ焼き付いている。
それだけではない。頭の中に浮かぶのは悪夢のような、けれどかつて確かに在った記憶。
「なん、で」
毎日のように繰り返されるあの光景。まだ自分が「かわるもの」として生きていた日々のこと。
昔自分を使役していたレトナと、日毎に変わる恋人と、そして姿を見ることすら叶わなかったたくさんの「家族」との記憶。
「嫌……嫌だ、こんな……」
何故今、何故あの時のことを。
そんな疑念も、次々と溢れ出す記憶の前にはどうすることも出来なかった。必死に思い出すまいと頭を抱え目を瞑っても、あの忌むべき毎日の記憶が繰り返し呼び覚まされる。
「誰か、誰か助けて、トオル――」
何でも良い、誰かいないのか。彼女は、トオルは。
大切な者の姿を求めて目を開ける。そんなカガミの視界に飛び込んできたのは、一人のレトナが幼い稚魚を叩き捨てる光景だった。
2018-09-09 12:14:28 +0000