ゆりかご

こばひろ
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時々あらゆる現象の境目があやふやになって
自分がずいぶん現実離れした、殺伐な何かになってしまったような感覚に落ちる時がある
けれど隣で静かに寝息をたてる君の横顔が、窓の外でこがね色に煌めく麦畑とか
一日の終わりを告げる落陽に照らされているのに気付くと
また僕の心の中に穏やかなぬくもりが戻って来る

君や僕が思っている以上に
時間がペテン師で、思い出が罪深い亡霊だったとしても
きっとそんなに悲しいことじゃない

これからどんな苦難が待っていても、君と僕がお互いの幸せを祈りながら今を生きていける限り
この優しいゆりかごが僕たちを見放すことはないのだから

//ユピタとフィオが再登場。原寸は122×174mm、ほぼ絵葉書サイズの小さな作品です。
貴志川線や水間鉄道の古い電車の写真を参考に描きました。車内の絵はめったに描きませんが、差し込む柔らかい光の表現や、窓枠の陰影などの表現にはいつも苦心させられます。
(2枚目はモノクロ版、3枚目以降はメイキング)

#original#メルクリウス鉄道#traditional#pencil drawing#train#inside a carriage#beast ears

2018-09-08 11:02:35 +0000