【ハナムケ】プシューケ【3期】


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プシューケ・ネフェンセス=ニゲラ Psyche Nephenthece Nigella 愛称は「プシー」(Ψ-psi)
 所有ポイント:70pt<=30+30+10>
 所属:シータ=レイア

母たる師:ディオーネ【illust/69765060】<30pt>
「手加減を教えてくれなかったのはディオーネの悪いところだぞ。鬼め」
父たる作者:アナテさん【illust/69478969
「たくさんの愛を知って、私たちを愛してくれたんだ。そうでなければ登場人物もいのちを得たりしないよ」
「赤い太刀筋に競り負けた記憶が、父からもらった私の炎。たやすく、燃え尽きてたまるものか」

魂の片割れ:サイキさん【illust/70480306
「共に生まれたきょうだいがひとり、私にもいるんだ。――強いぞ。とてもな。
 サイキはいつだって一番、今どこにいるのか気になる存在だよ。動向は知りたくなるものだろう?
 何せ最上の、ライバルだからな」


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「悔やむのはわかる、だが私まで同情して何になる。私の仕事はそれを払うことだ。
どれだけ悲しみに暮れてるかは身をもって知っているつもりだよ。何せ滅びの夢が沸いて出る」

「……それはそれとして気が済まんのだ。人まで折れて捨てられては武器も泣く。
私にできるのは折れた奴を叩き直すこと。――プシーはそう綴られて、生まれたんでね」

◆婚姻:切り離せぬご縁を頂きました!
エステロントより 昼間の星 ターガステーロさん【illust/71164852

物語の主人公のように剣を振るった。それが私として綴られた姿だったからだ。
正義を貫く人のように槍を振るった。それが私の役目だったからだ。
物語の勇者になりたかったのだろうか。掲げられる退魔のつるぎになりたかったのだろうか。そうではない。
私はただ、守りたかったのだ。なりたかったのだ。

――……何に?

父の描いた私たれと得物を振るううちにいつの間にか、私は何かを振り落として。
捨てられた武器を目にした日の煮える思いの根底にあったものを忘れて、
急くように剣を、無条件に槍を構えては「これが私の在り方だ」と声を上げた。
父がいれば、そうではないと言ってくれたのだろう。母なら代わりに叩き直してくれたろうか。
だが無貌の私の側には、ばかだなと言ってくれる者がいなかったものだから。
気付けずまんまと在り方とやらに囚われたまま、筋書きなき一冊から飛び出した私は無限の空白を前に、
筆の1つ握れず「こうあれかし」と武を奮うだけの形のみの役者と化し、ひとつと次章に進めぬまま行き詰った。

白紙のシナリオをがむしゃらに生きる、さながら迷子のような私は。
そんな時に君と出会った。

◆続き→【novel/10047110




「いつか私の持ち主が現れたら、君が渡しておくれよ。落とし物を届けるのが君の得意だろ?
 ――別に諦めているわけではない。私の軌道修正をしてくれた君だから頼むんだ。ターガ」

記憶の奥底の父のように、柄でもなくペンを握る。
見落としていたものに気付いてからは、私は自分の意思でターガと供にいた。
それは君に正しい筋書きを見つけてもらおうとしたとかでなく、私の話は君と旅する風に仕立てたかったからだ。

君はやかましかったけれど。
見えないところで忘れ物を拾って、大事な物をだいじに守って。
口にしなかったがその姿に憧れた。物語の陰に在るのが惜しいほどの行いが、私は好きだった。
私が落っことした両親からの愛を拾い直せたのは、君が立ち止まらせて、足元を見ることを教えてくれたからだ。

よく働く奴なのに。昼間の星も見えないんだろ? あまりに惜しいじゃないか。
だからしかと見ていた私がさ、ターガステーロの証明をしてやろうと思ったんだ。
これまでの礼と、そしてこの依頼の報酬にな。



――それを君という星は。全くヘンな謎かけばかりして。素直にものが言えんのか?

「ならば君が書き足しておくれよ」と、差し出したペンを君は受け取る。
私が書いても良かったが、嬉しかったんだ。君の字で見たかった。
……上手い下手とかじゃなくてさ。君の手でかたちを成すのが私には大事だったんだよ、ターガ。

「大事な物が小さくて何が悪い? 何を言うか、お前の懐の中は小さき者ばかりだったろう!
 大事なら暴かれぬよう隠さずしてどうする。私が欲しいというなら強欲になってもらわねば適わん。

 ……ふ、はは、ハッハハ! ターガお前、それにしてもヘンな字だなあ。く、ふふ、ははは!」

――そうだ。私もこうやって笑いたかったんだ。


---
旅人はそれを、翼持つ昼間の星、と語った。
動乱の世に零れ落ち、見落とされた人々の宝を拾い上げて守る者。
忘れ去ってはならない大事な思い出を懐にしまうと、在るべき場所に渡すためその時代をはばたいたのだと。

だが唯一、海の国で拾った剣だけは、昼間の星は誰にも譲らなかった。

ある者はそれを赤く燃えるような大剣と言う。ある者は海より青い細身の剣だと、ある者は双剣と言ったか。
全貌の知れぬその剣がどうして噂となるのか。目撃した者がいるのかすら真偽は知れない。
だが決まって最後には「迷子の剣は永遠に昼間の星と共にあった」と物語られる。
だから時に旅人は、その名ばかりの剣を探すのだろうか。
初めにそれを語ったのは、誰であったろう。

その剣は星の瞬きの内に隠されている。番人たる翼が、守り続けている。

(たとえ遺却の矢に射られ、すべての忘れ物を落とし去っても。彼は彼女とその一冊はけして離さなかった)

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2018-09-04 15:29:04 +0000