【ハナムケ】歌月【3期】

翅 暗丸
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❖朽ちゆく世界にハナムケを【illust/67637283

❖歌月-カゲツ-
∟所属国/レフコニア
∟所有ポイント/110pt(70pt<前期>+30pt<継続>+10pt<イベント>=110pt)
∟17歳/165cm/中性
∟一人称:わたくし/二人称:あなた、呼び捨て

❖父:蓮輝(70pt)【illust/69551020
 母:ベルナジトさん【illust/69655539
 きょうだい:瑤光さん【illust/70576592

❖久響の鳥-クユラノトリ-
夢と幻想に生きるとされている種族。遥か昔は鳥の形を持っていたという説もある一方で、
人の形を得る代償に翼を失ったのではないかとされている。
(1期CS参照:illust/68656247)

❖Skill
-癒涙-
万能薬と言われているがそんな効力は発揮しない。気休め程度の痛みを和らげる事しか出来ない。
-虚歌-
あくむのうた。やさしいうたがうたえない。
-璞の宝珠-
道具にこもった、持ち主が意識的あるいは無意識に込めた“思念”を取り出して、
ガラス玉に移し替える力。
-加護石の力-
邪気払い。けれど、吸い取りきれなくなったそれは、逆に溢れ出している。

❖素敵なご縁をいただきました(9/4)
トゥーリオさん【illust/70480014

蠢く黒い靄に見え隠れする、醜悪な形を成しては崩れていくモノ。
元々は自分に向けられたものではないのに、それらを吸収し癒していく中で、気付けば
逆にそれに囚われ、逃げられなくなってしまった。

何処にも行けないのが辛くて、誰にも会えないのが寂しくて、意図せずしてこちら側に
引きずり込んでしまうのが、とても嫌だった。
泣いてもどうにもならないくせに涙は止まらなくて、それが尚の事腹立たしくて、悲しくて。
どうせ起きられないのだと、半ば自棄になっていた時。

「……だ、誰。何でこんな所に、人が」

暗い視界に慣れてしまったわたくしには眩く感じる人。悪夢の中にいるというのに、
何故か呆気らかんとしていて、そうして、興味深そうに周囲を見渡していた。
トゥーリオ、と名乗った彼は、わたくしからすれば色々と規格外な人物だった。

「作るだなんて、そんな簡単に言わないで。出口なら勝手に探してちょうだい。
今までだって何も出来な──ねえ、ねえってば、聞きなさいってば!もう!!」

猪突猛進なんて言葉、彼にピッタリではないだろうか、とか思いながら、半ば引きずられる形で
出口探しならぬ出口作りに参加させられる。
無理だと言ってもまだ諦めるには早いと返され、悪夢の中を一緒に歩き回った。

…ただ、本当に出口なんてものがあるとは思わなくて、しかも勢いよく脱出する事に
なるとは想像してなくて。
もっと丁寧に連れ出してとか、無茶苦茶だとか、色々と言っていたかもしれないけど。

「……あの、ありがとう。トゥーリオのお蔭。此処、あなたの夢の中みたい。そうだよ。
自分の夢の中なのに気付かなかったの?賑やかな場所ね。…別に、嫌いではないけど、こういうの」

礼を述べるのが何だか気恥ずかしくて、素直ではない言葉が混じってしまった。
そういう自分が嫌になる。何処か捻くれているというのを自覚しているから尚更。
けれど彼は特に気にした様子も無くて、からりと笑っていた。

夢の世界の輪郭が曖昧になっていく。この久しい感覚は、目覚める合図。
物珍しそうに変化を見ていた彼に、別れる前に言葉を紡いで残した。

「もし再び会う事があるなら、あなたの船に乗せて。今度こそ、丁寧にお願いよ。
返事は今じゃなくて、いつかの夢で聞かせてくれればいいから」

:

ずっと傍に居てくれたあに様の顔を久しぶりに見た時、火がついたように泣いてしまった。
ママも来て三人で泣いていれば、パパが優しく抱きしめてくれた。
戻ってきた。漸く、戻ってこれた。

「悪夢から出してくれた人がいるの。うん。実はね。だけどその人、あんまりにも
無茶苦茶だったの。初めてだったよ、ああいう人は。でも何だかんだ言って励ましてくれて──」

トゥーリオの事を話せば、そうだったのって、三人が柔らかに聞いてくれた。
わたくし自身がまだ不安定だから、意図して彼の夢の中へ行けるわけではないけれど、
その時が来たなら、もう少し、彼の事を知りたいと思った。

:

いつの間にか眠っていたらしい。懐かしい夢を見ていた気がした。
ぼんやりとした視界の隅で、光に照らされて輝く金色が見えた。

まだ、歌うのは少し怖くて躊躇われる。
きっともう悪夢へ引きずり込む事はないだろうと思っても、どうしても以前の事が
思い出されてしまって、声は出る事を拒む。

でもそれも、いずれ解消されていくのだろう。
根拠はないけど、何故かそう感じた。

トゥーリオがわたくしの名を呼んで手招きする。
翼を広げてその側へと降り立った。

多分、これから先何かが起ころうとしても、わたくしは立っていられるのだろう。
隣に彼が居てくれるのなら、蹲る事は、もう無いのだと思う。

:

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2018-09-02 15:12:43 +0000