あきつ丸は微笑んでいた。
それは眼の前で泣き縋り、助けを乞う高官の者を嘲るものではなく、どちらかというと自嘲気味だっただろう。 己の手を血で汚すたびにワタシと彼(猫?)の夢は現実に近づく。
とてもやり甲斐のある仕事だ。
この男はあろうことか艦娘の身体を買っていた。
数週間前に発覚し、ようやくノア提督からの『命令』が出たところだ。
色々と吸い上げなければいけない情報があったのだろう。
もはやこの男には何一つ価値は無い。
死んだところで誰も悲しまないだろう。
そう… ワタシと一緒だ。
いや、この男の妻と娘は悲しむか。
なんだワタシより良い身分じゃないか。
そこまで考えたとき自然に笑みがこぼれた。
ワタシが死んだときノア提督殿は悲しんでくれるだろうか?
今度きいてみよう。
微笑みが意地の悪い笑顔になるのを感じた。
気づいたとき眼の前でうるさく叫んでいた男の声は頭ごと失くなっていた---
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2018-08-23 14:11:51 +0000