※以下、ニコニコ静画からの転載です。(http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im8365376?_topic=nicoseiga_user_illust_upload&ref=zeromypage_nicorepo)
大いなる戦いを終えた或る日、彼は見慣れぬ世界にいた。
澄み渡る青空、目を癒してくれる新緑、心地よい日差しと風。
そして色とりどりの花と戯れていた花嫁。
彼女は驚いた様子でこちらを見ている。
「ウゥ・・・ウウ?」
昔と変わらず唸り声しかその口からは発せられないが、それだけでも俺にはわかる。
かつて彼女のマスターだった俺には。
「お前・・・ここにいたのか」
ただただお互いを見つめ合い、時間だけが過ぎていた。
思い出話に花を咲かせるのも良かったが、目の前の光景の美しさに言葉が出ない。
それほどに、美しかった。
だが唐突に刻限は訪れる。急激な意識の混濁。
これが夢だということを、その瞬間彼は覚った。
「バーサーカー・・・! バー・・・フランケンシュタイン!!」
もう二度と会えないのではないかという恐怖の思念が彼を彼女のもとへ走らせた。
視界が霞む・・・どうやら間に合いそうにない・・・。
だがその刹那、彼はたしかに見た。そして聞いた。
天国の花園に降り立った花嫁の、狂戦士とは程遠いほどの優しい笑顔を。そして・・・。
「カウ・・・レス・・・。あり、が、とう・・・」
絞り出すかのように必死に、しかしはっきりとした彼女の声を。
気がつくと彼は自室のベッドに仰向けになり、見慣れた天井を見つめていた。
やはりあれは夢だったのか。いや・・・だとしても・・・。
「おはよう、バーサーカー」
花瓶に生けた一輪の花に向かって声をかける。
いつまでも、いつまでも忘れないために。
大丈夫。彼女は今も生きている。こことは違う世界で、きっと。
風もないのにまるで生きているかのように、花がわずかに揺れた。
タイトルの案は桜夜のえるさん(twitter/genoumuu)からいただきました。m(_ _)m
2018-07-28 11:17:10 +0000