ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)

I M I

自分的にはゾロとペローナの出会いの場面がこうだったらと言う希望。

喰らえ!
そして、私の前に跪け!
七武海バーソロミュー・クマに放った一撃が当たると確信した刹那、私は空に弾き飛ばされた。
何が何だか分からないが後ろを振り向いた。
スリラーバークらしき島が見えたと思ったらあっと言う間に視界から消えた。
「モ、モリアさま〜!助けてー!!」
その声が届くはずが無いと分かっていても叫ばずにはいられなかった。
恐怖で前なんか向いていられない。
足元を恐ろしい速さで過ぎ去る島々。
私はどうなってしまうんだろう・・・と、膝を抱えたその時、土煙が舞い上がり私はどこか知らない土地に軟着陸した。
飛んできたスピードからすると拍子抜けするほど優しい着地。
もし、一緒に卵が飛ばされても割れる事は無いだろう。
土煙が収まり、ムッとした湿気を含んだ空気に晒された。
時差なのか空が白んでいる。
見上げると朝日に照らされ佇む白亜の城。
湖のほとりに建つ城は湖面に朝日が反射してキラキラと浮かび上がっている。
私はしばらくその姿をウットリと眺めていた。
「バカンスに行くなら怨念渦巻く城で呪いの歌でも歌って過ごしたい」
そんなリクエストにピッタリ!
「クマ!偉いじゃないかー!」
さっまで文章にできない様な有りったけの呪いの言葉をクマに投げつけていたのに。
自分でも薄情だと思うくらい切り替えが早い。
まぁ来ちゃったモンは仕方がない。
迎えてくれた城には可愛い召使がいるのかなぁ。
私は浮かれた足取りで湖上の城へと向かった。

誰もいない・・・。

なんだよー!
折角私が来てやったのにどう言う事だー!
私はネガティブゴーストを出して城の中を見に行かせた。
ゴーストは私の分身。
見た物はそのまま私も見る事ができる。

どう言う事だ?
城は思った以上に広くそして古いのだが、内部は意外なほど綺麗だ。
掃除も行き届いているし、ドアや階段にも壊れているところが無い。
カーテンやクロスも品が良く高級な物が使ってある。
要するに、この城には誰か金持ちが住んでいて留守にしているのだろう。
お、食品庫発見!
大型冷蔵庫の中はほぼ空か・・・。
でも、冷凍庫には肉魚が有る!
日持ちのするパスタ、クラッカー。
おおっ!ワインセラーも有る!
そう言えば、ほぼ一晩貫徹か・・・お腹もすいた。

「ごめんなさい!」
そう言って通用口の鍵をゴーストラップで壊した。
持主も可愛い私が困っている事を説明すれば、きっと許してくれるだろう。
クラッカーとワインで空腹を満たす間、他の部屋をゴーストで見て回る。
客室用なのかベットの有る部屋がいくつか有った。
そして、持主の部屋なのだろうか?
ひときわ広く整えられた寝室。
こりゃ相当レベルの高い人物だろう。
許してもらえるか不安がよぎるが、兎に角、ベットを借りて横になった。
疲れた・・・でも、なんとか生きている・・・。

「可愛い召使がいないなんて聞いてなーい!」
ここに飛ばされて一週間。
帰らぬ持主を待ちながら過ごすのにも少々飽きて来た。
「・・・スリラーバークに帰りたい・・・」
そう思った時

ドゴンッ!

あの時と同じ様に「アイツ」が飛ばされて来た。

可愛い召使とは程遠い、そして憎々しい顔。
コイツのせいでスリラーバークは・・・私は・・・。
「勝手に死んじまえ!!」
そう言うと踵を返して城に戻る。

なんでクマはあんなヤツを飛ばして来たんだ?
意地悪か?意地悪なのか?
他の誰でも良いけれど、選りに選って麦わらの仲間・・・。
しかも、側から見ても死にそうだ。
ワザワザ憎い相手の最後を看取らせてくれるのか?
考えても仕方ない、退屈凌ぎにもう一度見に行ってやるか。
もう死んでいるだろうけど・・・。

生きていた。

なんだ、このしぶとさ・・・。
スリラーバークでは死は身近な物だった。
人間、動物、命ある者はいずれ死ぬ。
そして、ホグバックがマリオ化し、モリア様が影を入れるとゾンビになる。
死はその過程の一つでしか無い。
私も死は怖い。
でも、コイツの生への執着は理解しがたい物だった。
「なぁお前、なんで生きたいんだ?」
興味本位で触ってみると、コイツの体温を感じた。
なんだコイツ?
温かい・・・いや、熱い!
私が知っている人の体温はもっと冷たかった。
死体になる瞬間、フッとロウソクの火が消える様に冷たくなる。
コイツの体温はそれに争う様に高く熱かった。
何が執着させるのか?
興が乗った。

か弱い女の子にコイツを運ぶのは重労働だ。
背負えないからとりあえず荷台車を探した。
問題は本体に戻らならないといけない事だ。
幽体では物理的な干渉ができない。
ここに飛ばされて以来、私は本体をベットで寝かせて幽体でいる。
何が起こるか分からない見知らぬ場所で体が傷つくのが一番怖い。
ちなみに、ベットで寝ている本体は裸だ。
寝ていても汗はかく。
汚れや匂いがつかない様に。
本体に戻るのは、食事と生理現象、そしてシャワーの時だけにしている。
だから、この埃まみれ血まみれのコイツを運ぶには本体に戻った上で服を着ないといけない。
汚れる事必至だ。

荷台車に乗せるだけでも一苦労だった。
城に入れるのは更に大変だ。
生憎、ベットのある部屋は全て二階。
ここはもう引きずるしかない。
途中、階段で頭を数回ぶつけたが、可愛い私が運んであげたんだ、許してくれるだろう。

とりあえず包帯を巻き額に水で濡らしたタオルを置く。
これで良いのか分からないが、手当てと言って思いつくのがこれしかない。
包帯を巻くのもタオルを取り替えるのも本体じゃないとできない。
と言う事は、ここに居なくちゃいけないと言う事か?
この野郎、私はフカフカのベットで寝たいんだよ!
そんな事を考えているうちにいつの間にか寝てしまった。

「・・・生きている、どこだココは?」
目が覚めてもまだ寝ているのだろうか?
見知らぬ部屋、そして見知らぬ女・・・?

知っている!

コイツはお化け女じゃないか!
でも、何で?
焦ったが俺の腕にしがみ付き、安心した様に寝ている顔を見たら問い詰めるのはコイツが起きてからで良いかと思った。

#One Piece#Perona#zorro#ゾロペロ#シッケアール#ONEPIECE

2018-07-15 07:52:28 +0000