【神の子壷】セラフィム【第4期】


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神の子壷【illust/67562142

もう苔は根を張らない。もうここに花は咲かない。
黒い水に侵されて、土の中から僕は死んでいく。
苦しいな。僕が僕でなくなってしまうのは。何も芽吹かない僕は、もう。

そっと風が吹いて、夕焼け色の羽が僕を攫った。
土の香り。種が割れる音がする。何かが満ちて回路が回る。

――そして僕は、石の中で息をした。


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>NAME > Se_ra_phim
>crystal( Seraphinite )
>#15 years old / male

>父: ジャスペル【illust/69124152
「ちゃんと足元見てついてくよ、大丈夫だいじょ……あいたっ。うぅん、わざと急に立ち止まるのはいじわるだよおとうさん……」
>母:エフィリトスさん【illust/69366147
「こっちのゴーレムの調子は良好だよ。次は向こうを見ればいい? それとも休憩する?」
「母さん、休憩時間はもう終わりだよ、ほら離し……起きないならもうひとねむ……フィゥ(瞼を閉じる)」
>きょうだい:アレクリーテちゃん【illust/69660634
「うんうん、じゃあこのキノコから胞子を取り終えたら雨が止むまでしりとりをしよう。
 僕も紙に書くとするか。ふふふ、字が下手でも許しておくれよ?」
「おいでリーテ。うんうん、ここなら可愛い妹の顔がよぅく見える。よしよし」
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依代絡繰り技師と錬金術師の、世代を超えた合作。亡き彼らは、友であったのだという。

-> セラフィム・ナジエ ( 15年/♂/依り代の宝石:セラフィナイト)
錬金術で作った精霊を宿した宝石を依代にして、尾羽から生まれたこいぬ。弱視。
こぼれ出るエネルギーを覆い尽くすように辺りから花が吹き出ており、該当個体もまた花を好む。
-> ガルガンチュア
通称「ガルさん」。弱視のセラフィムのサポート。自分を百獣の王だと思い込んでいる。



□誓約

花を追っての調査中、水のにおいにつられて見つけた水辺には、瑠璃と珊瑚のような美しい女の子。
彼女は自然を愛する人でした。花を愛する人でした。そう、とてもこいぬと似ていたのです。
おとなしいふたりが打ち解けるのはほんのすぐで、こいぬも話に花を咲かせました。
ですから調査が終わる頃、その地を発つのがあまりに惜しく思えたのでしょう。

緑のこいぬはノートの切れ端に何か書き留めると、
別れ際の彼女にそれを手渡したのでした。


-> コーラルシーさんillust/69523312

僕のおじいさんはふたりとも研究者の友人で、会えない時には手紙でやり取りをしていたんだそうです。
実はちょっと憧れでした。文通。あなたと話してたらつい思い出してしまって、
「ここ、僕のいる温室の場所です。今回みたいに外に出ることも多いけど、ほとんどは此処に居ますから。
 手紙を送ってくれませんか? 今日みたいにどんな話でもいいから。僕も見せられなかった標本とか、色々送ります」
ね、いかがですか?
少しだけ考える風な後、あなたが提案を受けてくれたのが、僕は嬉しかった。

『コーラルシーさん:

 先日はお世話になりました、セラフィムです。
 実は字を書くの、ちょっと苦手なのでおかしなことを書いていたらごめんなさい。
 あなたはとても優しく植物のことを見ているんだなって伝わってきて、僕もとても嬉しかったです。
 水辺に立ち寄ることはなかなかないのであなたの知見にとても助けられました。あわよくばまた
 助力頂きたいなって……あともっと仲良くなりたくて。うん、ホントのところはそんな気持ちです。』

『コーラルシーさんはイワネムリをご存知ですか?
 僕の住んでいる近くではよく見られるんですが、聖水の近くでは芽を出さない変わった花なんです。
 ついさっき種が採れたので同封します。もしよかったら鉢に植えてみてください。
 一緒に送る肥料をあげて日陰に置いてあげると白い芽が出ます。先日のお礼に受け取ってください』

『とても綺麗な鉱石をありがとうございました。
 用途もですけど、まるで宝石のようで驚きです。こんなものがあるだなんて!
 僕は目が悪くてあまり足元を探し回れないから、何だか羨ましいです。
 コーラルシーさんの見ている世界はきらきらしているんだろうなぁ。』

『ハーバリウムも気に入っていただけたみたいで嬉しいです。
 僕ももらった鉱石を机に飾っていたら妹に興味を持たれて、なんだか得意な気分になってます。
 心配してくれてありがとう。コーラルシーさんは今も外を回っていらっしゃいますか?
 あなたもどうかお気をつけて。またそちらに伺うことがあれば、お会いしたいですね。』

机に何枚も紙をひろげて、たどたどしく考えをまとめて、ペンを握る手を時に留めながら。
あなたに送る一枚が楽しかった。届く封筒と贈り物が嬉しかった。
長くやり取りが続いたけれどそういえば、会ったのはあの時だけだなと思う。
『今度、そちらに伺ってもいいですか』って、送ってもいいかな。
そう書こうとした時に、久しい声を耳にして。
思わず姿を変えて研究所の外に飛び出して――驚く顔のあなたにまた会った。

「……あ。はは、そういえばこちらの姿のこと教えてませんでしたっけ。うん、実はこっちが本当です。
 届けに来てくれてありがとうございます。それにここまで来てくださって。
 ――ふふ。僕、コーラルシーさんに会いたかったんです。とってもね。またお声が聞けて嬉しいです」


――あの手紙はぜんぶ宝石みたいな宝物。
ね、コーラルシーさん。僕、あなたと一緒にこの世界の綺麗なもの、たくさん見て見たい。
これからもあなたの声をずっと聞いていたいんだ。

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2018-07-09 15:08:19 +0000