私は、ぐるぐると昔の一番幸せだった
ゼアリンさんとの
思い出を思い出していた。
*****
私は、私の家族と、テマルの家族とお祭りに
来ていた。
私は、小2のあの事件以降、
『可愛い』という物を
スゴく意識するようになった。
ゼアリンさんの中で
私が、一番、『可愛い』でありたいと
願ったのだ。
ふと、雑誌のコーナーを見ていると、レースで
フリフリの、お姫様のような子が表紙の
雑誌に、目がいった。
スゴく可愛い。もっと、こういうカッコしたら、
標的になるかな。コワイナ。
でも、ゼアリンさんが
可愛いと思ってくれるなら。
とりあえず、雑誌を買って
一番安いレースの、ゴスロリのスカートと、
元々持ってる、キティちゃんのTシャツと、
ニーハイにカラフルなスニーカーを
合わせてみた。
そして、学校へ行ってみた所、すごく
評判が良かった。
それ所か、私がゼアリンさんが好きらしい
⇒応援しよう。という、学年の女子の
一致団結が出来ていた。
私のあだ名は、ぶりっこから、姫
へと格上げになった。(?)
そして、今日、七夕祭りへ来ている。
私は今日の為に、お母さんにねだって
ネトオクで、甘ロリの
浴衣をねだっていた。
もしかしたら、ゼアリンさんも
来るかもしれない。
私は、今、小6。
色気とかは全然無い。足も棒みたいだ。
だけど、ゼアリンさんが可愛いって、
。。。言ってくれるかなぁ。
5、歳、の差は大きい。
綺麗なお姉さんが浴衣を着て来ていっぱい溢れてる。
私なんか、全然、子供っぽいカッコで
来ちゃったかな。。。
テマルだって、Tシャツにジーンズだけど、
スタイルがいい。
んー。。。あれ、
みんなどこ?
気付くと、皆を見失っていた。
『てまるー!!お母さーん。お父さーん!!!』
どうしよう。みんないない。完璧迷子だ。
そして、私は歩いて歩いて歩いた。
。。。足が痛い。所々水ぶくれが
破けている。もう嫌だ。
『ねぇ』
何。。。?
『ほら、やっぱり可愛いじゃん。』
『やベーな。たまんねー。』
『迷子?何?俺らと探す?』
どうしよう。だれ?怖い。
私は、足が痛いのを我慢して、走った。
てま。おかあさん。おとうさん。
その時手を掴まれた。
『やだ!!離して!!!!』
震える。こわいこわいこわい!!!!!
『待ってよ。ちょっとだけ話そ?ね?』
『おい。』
この、声は、『ゼアリンさん。。。』
『俺の妹に何か用?』
ゼアリンさん、背が伸びたな。。。
筋肉がついてるのが
浴衣の上からでもわかる。
ゼアリンさんが中学行って、バスケ部に入ったって聞いたけど、
全然、会えなかった。高校も、スポーツ推薦で行ったとか。
『ゼアリンさん。。。ま、いごに、っ。。。なっ。。』
『うん。わかった。』
『リンリーン?』
『どしたの?』
『いや、迷子らしくてさ。俺、送ってくるわ。』
『『『行ってらっしゃい!!(笑)』』』
『俺、ずっと、リンリン、待ってるから。(笑)』
『待たなくていいから。(笑)後、リンリンやめれ(笑)』
じゃ、と言って、ゼアリンはしゃがんだ。
『足、痛いだろ。おぶるよ。』
でも、『私、重いですよ?』
汗、かいちゃったし、浴衣のしたに着た
タンクトップが見えてる。髪もボサボサ。最悪だ。
『はい、乗るー。』
『は、はい。』
夏の風が吹いた。
私はゼアリンさんの背中にくっついて、
通りすぎる夜のお祭りの光を見ていた。
ずっとこうしてたいな。
ふわふわキラキラ通りすぎてく風景。
ドキドキするけど、安心する。
心が、暖かい。
ずっと、このままで。
*****
『サイィー!!サイィー!!』
あっ。てまる。
『テマー。テマー。テマー!!!!!!』
見つかったね。
ひょいと、私を下ろし、
『またね。』そう言ってゼアリンさんは
行ってしまった。
お母さん達が走って来る。
『大丈夫?サイィー?サイィー?』私は、
夜の光に消えて行った、ゼアリンさんの方を
ボーッと見ていた。。。
こんなに、綺麗な夜は、初めてだと
思いながら。
*****
あの頃へ
『戻りたい。』
涙がぽろぽろ流れた。
寝転がって丸くなって、私は、泣いた。
*****
遠くで、サイィー!!サイィー!!どこー!?
テマルと友達の声が聞こえる。
いつも、テマは、私をさがしてるな。
ふっ。と、笑って私は、気を失った。
2018-07-03 04:21:25 +0000