「え~ 牧野先生、貴方は優秀であるからして
だからこそ、もっとその力量を試せる場があるとは思わんかね
遠地でその機会があると十分に考えるわけで」
牧野「異動内示ですか?」
校長「私個人の強い訴えでもある」
今や職員が、私を腫れ物扱いするのには慣れてたわ
でも、こういう形での処遇は思っても見なかった
2,3年は担任は基本持ち上がりだから、2年終了時の
私に対するこの仕打ちは、厄介払いなのは明らかだった
つまり邪魔者は、転勤させてしまおうってこと
校長は私が教師を辞めると思ったのでしょうね
はじめはこの理不尽な仕打ちに、辞めてやろうかと思ったよ
でも、それこそ彼らの思う壺だし、この仕事は好きだったから
この提案を飲んだの
牧野「わかりました」
校長「な!?」
それで、ここに来たってわけ
俺「そいつら、許せないよ」
そうね、私もそうだった。そんな願いが通じたのか
今年の夏 地元のメディアが、どこから聞いたのか
この話を聞きつけて、大きな話題にしたのよ
親兄弟、名士の威光もすっかり地に堕ちたわ 件のあいつは
教師を追われたみたい
でも、諸手を挙げて喜べなかった
実際私は何も出来なかったし
彼女自体もメディアで酷い書かれ方をしてしまって
喜ぶどころか逆に胸をしめつけられたわ
(それで秋に身体を壊したのか)
結局、私は彼女を救えなかった
そして、あの悲しい出来事は私を放してくれそうにないわ
おそらく、永遠に...
私は、やっぱり向いてないのかもね。この仕事
そう言って、眼鏡を外して涙を拭った
ふと思い出した 春先の駅前の深山への必死な行動
こんな過去があったのならば、盾になるのも今は納得が行く
だから俺は...
2018-06-13 18:42:59 +0000