世界の平和のために、世界の核廃絶のために
安倍はともかく、誰も望んではいない。単なる北朝鮮の核廃棄と、その検証不可逆後の経済制裁緩和が米朝によって合意されることで、この貴重な会談が終了し、直ぐに、イランのような合意破棄に至ることなど、望みたくもない。一体何が、この米朝会談を作り上げたかを考えてみよう。基本的事項は云うまでもなく、巨大資本群(グローバル化したアメリカ資本、国家資本の典型となった中国、ロシア、その他アメリカ資本下のEUや日本、韓国の資本群のことだが)の競合がほぼ頂点に達し、軍事も含めて競争が極めて困難で危険で、破壊的な状況の極限に達したことである。幾つかの協調が不調に、各国の排他的傾向や自国中心と云う反応がそのために顕在化することになった。トランプのアメリカファーストはその票を拾って、ロシアゲートも含めて出現したことは云うまでもなかろう。ブルジョワジーの、資本主義的生産体制の終焉が見えて来たのである。世界を見れば、様々な反政権闘争があり、中でも、韓国のキャンドルデモが、韓国民衆の力量と保守政権の腐敗を証明した。ムン・ジェイン政権の成立となった。このことが無ければ、ピョンチャンオリンピックを契機とする南北会談も無かったであろうし、キム ジョンウンの朝鮮半島からの核廃絶の思考は動き出すこともできなかったであろう。トランプにその意志がムンを経由して伝えられ、今までのアメリカ資本の立場では即断もできないことが、トランプ政権(トランプの個人的な資質による点も大きいが)にとっては、オバマ越えの、アメリカの威信の、トランプのノーベル賞や自由の女神に見せられたこともあってか、ツイート形式で米朝会談開催を受け入れた。アメリカ資本の状況の一変があるからこそ、必然的に、偶然を装って、その受諾に進むことになったと見るべきものである。核兵器の使用価値の低下は否めない。資本のさらなる成長のためにも、ここは拡大商売ではなく、縮小商売も選択肢に入って来ている事情もある。全資本の成長維持のための核廃絶ビジネスへの全資本の協調も本気になって考えざるを得ないのである。むき出しで云えば、資本主義そのものの崩壊となるが、世界平和の掛け声で、資本主義社会を維持することも、ブルジョワジーの必死の引き延ばし策ではあるのである。ジョンウンも国家資本の末端にあって、朝鮮半島の平和、朝鮮の合併も視野に入れた策は至上の意志であろう。現体制の維持を超えた、歴史的役割の認識も私は読みたい。予断は許さない混乱・混沌に覆われてはいるが、歴史はその一歩一歩を進めている。
2018-05-15 10:56:50 +0000