「敵は海賊!3 〜お婆ちゃん大好き〜」

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いや、確かに「話を聞くヤツ連れて来い」とは言ったけど、海軍の大参謀連れて来るとか、どうかしているだろ?
鷹の目の交友関係の広さには時々驚かされる。
しかも結構な無茶な要求を快諾して貰えるのだからああ見えて人望が有るのだろう。
それにしてもおツルさんとは・・・。
話が合うんか?

「まぁ、鷹の目の同居人と聞いたから、さっきの若い剣士かと思ったら、可愛い娘さんじゃないか。」
お!おツルさん、いきなり分かっているじゃないか!
「鷹の目に付き合うのも大変だから、そりゃぁストレスもたまるだろう。」
「え!?何でそんな事までわかるの!?」
「なにせあいつは口数が少ないからねぇ。気持ちを組むのが一苦労だろう?」
「そうなの!あいつ等ったらあたしに雑用押し付けて!自分達は剣術の修行だとかで汗まみれ!埃まみれ!メシつくれ!掃除しろって!あたしは召使いじゃないって言うの!」
何か堰を切ったように今までの不満やストレスが噴き出した。
「今まで料理も掃除も洗濯もやった事無かったんだよ!なのに全部押し付けて!上手く出来る訳ねーじゃん!あたし、だって・・・頑張って・・・。」
なんだか、泣きたくなってきた。
「おやおや、大変だったんだね。あんたが・・・ペローナだったね?ペローナが一生懸命やっているのがよーく分かるよ。あんたは偉いよ。」
「おツルさん・・・。」
「そうじゃないかい?誰だってやったことがない事を上手くやれる訳無いじゃないか。でも、ペローナは出来なくても投げ出さないなんて、大したもんじゃないか。」
自分の事を全面肯定されて涙が溢れてくる。
「あら!泣いていたら可愛い顔が台無しだよ。でも、そんなに辛い事をどうして投げ出さないんだい?鷹の目に言って使用人でも雇って貰えば良いだろう?」
「うん、そうなんだけど・・・なんか出来ないままだとあいつ等に馬鹿にされるみたいだし・・・それに・・・」
「?それに?」
「・・・うん、その、下手なりにやっているけど、あいつ文句言わねーし・・・」
「鷹の目かい?」
「・・・鷹の目もそうだけど・・・」
ごにょごにょと、口ごもる。
「あーあの若い剣士かい!」
「!・・・うん、あいつさぁ、あたしが作ったメシ平らげてくれたんだ。不味いって分かっているんだけど、文句も言わずに。だから、まともなメシ食わせてやりたいって・・・美味いって言って貰いたいって・・・」
「ふふ・・・好きな人に自分の料理を食べてもらうのって女の子は嬉しいもんだよね。」
「!えっ!って、言うか、べ、別にそんな事無いんだからね!」
「でも、自分が出来るところ認めて欲しいんだろ?」
「うん・・・でも、あいつ鈍感だから・・・。」
「さぁどうかねぇ?」
「え?どう言う事?」
「あの剣士は麦わらの処の一味だろ?確か「海賊狩り」って言われていた。鷹の目が言っていたよ『俺を前にして世界最強の剣豪になる!って言うヤツが現れた』って。そんなヤツが頭を下げて稽古を付けて貰っている。今は一心不乱に稽古に打ち込みただろうね。」
「じゃぁやっぱりあたしの事なんか・・・」
「ふふ、ペローナは可愛いね。今まで話してきてペローナが素直で良い子だってよーく分かったわ。そんなペローナが気になる相手が只の鈍感だなんて私には思えないね。」
「・・・え?」
「私も沢山の男を見てきたわ。特にああ言う拘りを持っている男って奴は素直じゃ無い。
だから、ペローナの気持ちは分かっているけどそれを意識する事が怖いんだよ。
強がっているけど目標から目をそらしたら届かなくなるんじゃ無いかって心配なんだよ。分かるかい?」
「それって口には出さないけど・・・って事?」
「そう。仮にも世界最強の剣豪を目指す男だろう?それが、身近な人の気持ちに気が付かないなんてあり得るかい?今はその好意に甘えてしまうんじゃ無いかって事が怖いんだよ。」
「ねえ!おツルさん!あたしどうしたら良いの!?」
「焦って答えを求めちゃダメだよ。あの剣士はペローナに感謝しているよ。単なる知人なんて思っていない。でも、今その答えを求めちゃいけない。」
ペローナは身を乗り出し鼻息荒くフンフンと頷く。
「ペローナは良い子なんだから、自信を持って相手の言葉を待って居れば良いんだよ。自信が無いから早急に答えが欲しくなるもんなんだよ。」
「でも、あたし料理も・・・何も上手く出来ねーし・・・。」
「ほら!もう答えは出たじゃないか!」
「え?」
「家事や料理が上手くなって自信が付けば、相手の気持ちも余裕で待てるだろう?なら、やる事は決まったんじゃないかい?」
「!おツルさん!ありがとう!あたし料理も家事も上手くなる!あいつの答えを自信を持って待てるようになる!」
「ほぅら!やっぱりペローナは良い子だ!」

おツルさん。
海軍大参謀であり「ウォシュウォシュの実」の能力者。
その能力は人の心を洗い流し清らかにする。
「鷹の目!無理言って済まなかったな!料理も家事ももっと頑張るから!これからも色々教えてくれ!」
これでしばらくは素直になるかな?と、ほくそ笑んだミホークが一枚上手だったようだ。

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2018-05-11 13:54:27 +0000