HASU様からいただきました。
user/5133364
小説のサンプルはこちら。
novel/9339988
以下未公開本文ちょっとだけ抜粋。
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夜が更けていく――
「一つだけ、言っておかなければならなかったことがあったわ」
思い出したように、輝夜。
「私は貴女のお父さんをもてあそんだわ。でもそれは……」
遠い、竹取の記憶。
「愛されるのが怖かった。誰かを愛するのが怖かったのよ」
今、目の前にその皇子がいたならどうするだろう。
だが、そんなことはあり得ない――だから。
輝夜は空を見上げる。
「月が綺麗ね……」
月へと妹紅を連れていったらどんな顔をするだろうか。
驚くだろう。でもきっとすぐ退屈する。
……同類なのだ。輝夜と妹紅は……そして、全く違う道へと進んでしまった。
輝夜が妹紅のようになったなら、きっと最後に輝夜の前に現れるのは妹紅。
他の誰でもなく、博麗の巫女でもなく……そう、永琳でもなく。
「朝が来るわね……」
月が落ちていく。星々が浮かび上がる白の中に輝きを潜めていく。
朝が来れば、この時間は終わる。
この時間が愛おしくて、朝が来るのが勿体なくて。
「でも……ね」
刻は流れる。不死であっても。
輝夜の能力を以てしても、だ。きっと全てを永遠にすることはできない。
無慈悲に刻を早めて、全てを終わらせることは出来たとしても。
刻は流れるから美しいのであって、それを止めようとする月には未練も興味もない。
「だから、自由に飛んで……消えてもいい、滅ぼしても、愛してもいい……だから」
2018-04-28 06:15:39 +0000