とある国立の芸術大学のキャンパスでは卒業した学生たちがいくつもの群れを作り
大学生活の思い出話に花を咲かせていた。
「あっ!あらしくーんっ!ここ!ここ!」
遠くからユリカが手を振ってあらしを呼んでいる。
「メンゴだぜ。予定より大分おくれちまったぜ。」
息を切らせてユリカの元へ駆け寄ると
彼女の卒業式に遅れてしまった事を詫びるあらし。
「ううん、仕方ないわ。お仕事だもの。
でも、今日は来てくれてありがとう、あらし君。」
しかし夫であるあらしの事情は良く知っているので、遅れた事を咎める様子は全く無かった。
「パパとママはお祝いのパーティーの準備をするからって、さっき帰った所よ。あらし君によろしくって。」
「そ、そうか…だぜ…ユリカ…大学卒業おめでとうだぜ!」
あらしはユリカにお祝いの言葉を掛けると同時に彼女の服装を見て驚く。
「そ、その服…中高時代、デートの時によく着ていた…」
「ご名答ー♪小学校6年の時…
卒業する直前にママに買ってもらった、私のお気に入りの服なの。」
顔を赤らめて答えるユリカは更に
「小学校の卒業式数日前のデートの時に初めて着た時は
まだちょっと大きかったけど、今はピッタリだわ。」
「なるほど、だぜ。だから10年以上も着られたのかだぜ。」
ユリカの小学校卒業時から今まで伸びた身長は約6センチほどとさほど大きくは無かったのも
着続ける事が出来た理由だろう。
「どう?あらし君、小6や中学高校の時の私と比べて…まだこの服似合っているかしら?
もう23だし、ちょっと子供っぽいかなぁ…」
すると、あらしは即答する。
「まだまだ充分イケるぜ!」
(これが人妻で子持ちの佇まいか…だぜ…。
はっきり言って反則だぜ。)
あらしは持ってきたデジカメを構えると、ユリカにポーズを取るように促した。
【終】
2018-03-19 15:35:47 +0000