幸せな結末 ~ホワイトデー編~

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「おい、鷹の目。何か近づいて来るぞ。」

キャベツの収穫中のミホークにペローナが声をかける。
ペローナは農作業中にホロホロゴーストを何体か放ち周囲の警戒をしている。
ヒヒが暴れないか、雨雲が近づいていないか、海賊船の襲撃にも目を光らせている。
いくらミホークが世界一の剣豪とは言っても鋤と鍬だけが武器では心もとない。
ペローナの能力は安心して農作業をするのに無くてはならない物なのだ。

そのホロホロゴーストの一体、東の海の見張りが何かを見つけた。
その一体に集中し目を凝らす。
「どうだ?何か分かったか?」
「いや・・・でかい船だが、海軍のじゃねぇなぁ・・・あ、ああっ!」
「どうした?」
大きな目をしたペローナが一層大きく目を見開いた。
みるみる血の気が引き蒼白になったかと思うと、一転、頬が紅潮し目に涙が浮かんでくる。
ミホークの問いに答える事無く走り出す。
その様子が答えを物語っている事をミホークは理解した。
「・・・そうか」
作業の手を止め、ふぅと息を継ぐとペローナの後を少し間をおいて歩き始めた。

走って移動するのがもどかしい。
幽体離脱すれば船着き場までは一直線だが・・・。
ダメだ!
今日は本体で無いと!直接あたしが行かないと!!
港へ続く坂道を何度も転びそうになりながら走る。
木々の合間から、大型船から降ろさえた小舟に人影が見える。
間違えない!
間違えるはずがない!!

息を切らしペローナが船着き場へ着いたのは小さな船が接岸する少し前だった。
「おう・・・。」
ぶっきら棒に言い放った言葉の主はニヤリと笑ってペローナを見た。
「走るの速くなったじゃねぇか。」
・・・まったく、久しぶりの再会の第一声がそれかよ。
無神経な発言にムッとするが声が出ない。
走ってきたせいではない。
言いたい事、聞きたい事、伝えたい事、思い続けた事・・・沢山あり過ぎて何から話して良いか分からない。
「迷子にならずに帰って来れるとは、成長したな・・・。」
自分自身、相手への一声目がこれかと思うと情けなくなる!
「おめーの居る場所忘れる訳ねーだろ。」
何だよ・・・あたしの聞きたい事、ちゃんと分かってるじゃねぇか・・・。

「お帰り・・・ロロノア・・・。」
「ただいま・・・ペローナ・・・。」
ゾロが言い終わらない内に、ペローナが胸に飛び込んだ。
やっぱり、幽体じゃだめだ、こうして直接触れられないから・・・・。

「お前に渡したい物が有って、今日に間に合う様に帰って来た・・・。」
「あたしに?何で今日なんだ・・・?」
「今日はホワイトデーだろ。去年はバレンタインのお返ししろとか散々言っていたじゃねーか。」
「そんな事覚えてんのか?まさか、『俺の白い物をくれてやるぜ!』って・・・?変態!!」
「違うわ!!」
「違うの・・・」
「何が残念なんだよ・・・後でだ・・・ほら、こいつだ。」
「何この大きな箱・・・。」
箱の中は白い布・・・いや、ドレスが・・・。
「おい!ロロノア・・・これ・・・。」
ウェディングドレス・・・!
「お前の好みに合うかは分からねーが、オレの好みではある。
 ルフィは大秘宝を手に入れた。俺も望みの物を手に入れても良いだろう・・・って、全部言わせんなよ!・・・照れくせーじゃねぇか・・・。」
大きな箱を抱えてペローナは泣いている。
嬉しくて泣いている。

ロロノアが生きていてくれた・・・。
戻ってきてくれた・・・。
そして、自分を求めてくれた・・・。
何だろう・・・。
こんな幸福が一度にやってくるなんてどうかしている!
ペローナの肩を抱きゾロが言い難い言葉をつぶやいた。
「お前は俺のモンだ・・・」

ペローナの後を少し間をおいてやってきたミホークは
「もう少し、ゆっくり来てやるべきだたかな?」と、二人の様子を見守っていた。

ホワイトデーに絡めて。
タイトルは大瀧詠一さんのヒット曲。
数あるラブソングの中で、個人的に一番好きな曲。
この曲にちなんだイラストは何回か描きたいですよ。
「別れるために出会う二人」では別々の空を見上げていたのが、今回は一緒の空を見上げています。
「ワンピース」のラストがこうなら萌え死にます。

#zorro#Perona#ゾロペロ#シッケアール#mihawk#white day#shanks#One Piece

2018-03-13 14:48:43 +0000