花冠を戴く者【illust/55830776】、期間外のIF(マドイビト)投稿になります。
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「うん、そうだね。こんなにきれいな空なんだ、僕とキミ以外はいらないよね?」
現行世界:ヤンラニ・ポルー【illust/57165979】
「翼をもがれた無様な姿……可哀想に。もうこの空には届かないね?」
「もはや地を歩くしか能のないキミが…なんでリーチェと共にいられたんだ……ッ!!
それじゃあまるで―翼を失わなかった僕こそが、間違いみたいじゃないか…あり得ない、そんなこと。あり得るはずない、」
妻:リーチェリカ【illust/57329704】
「キミはこっちにもいないんだね……ははっ。わかってる、わかってたよ、」
「アレは最期までキミと一緒で……二人で飛べなかったのに幸せだった……?嘘でしょそんなの、ねえ、…―嘘だ」
長女:ロアンニ【illust/57911610】
「ロアンニ、こっちでも苦労をかけているみたいだね…大丈夫だよ、父さんに任せて。すぐに家族みんなで飛べる日が来るよ。
―大丈夫、だいじょうぶ」
次女:リリラナ【illust/57875406】
「リリ、リリ。キミはいるはずだろ?…なんで、キミの羽ばたきが聞こえない?母さんのようなあの美しい大きな黒い翼を見せてよ」
心に残るもの:キミと飛んだ空
自らの望みがきっかけで最愛のヒトを亡くしたとある有翼人のマドイビト。成れの果て。
3対の真白の翼を羽ばたかせ、『キミ』がいた空に似た此処を清らかに保つ。―帰ってきてくれる、その時まで。
・影荊の嘲笑:のぞんだものの、なれのはて。
魔王にかけられた呪縛。影から伸びる荊が身体と願望を捕らえ、願いの成就を妨害する。
花々は願う心に呼応し、叶わぬことを嘲笑うかのように美しく咲き乱れる。
魔王の力が増大した世界では、花々はより禍々しい色に染まり。宿主をも飲み込まんとする荊の勢いは
やがてその心をも黒く染め上げるだろう。すべてを侵された宿主は、やがて――
・風見の碧眼:
有翼人たるポルー族の能力。風の流れを読むことができ、どんな些細な羽ばたきも見逃さない。
・鎌鼬:
マドイビトとなったことで得た力。得てしまった凶器。風の流れをも操り、鎌状に研ぎ澄まし放つ。―邪魔者を斬り堕とすために。
その刃には、一点の曇りも、もう無い。
「キミと飛んだ空はこんな色じゃなかった、こんなに、汚くなかった!!
すべては…ほら、下から来るあいつらが悪いんだ。勘違いしているあいつらが!
だから斬るんだ、堕としてあげるんだ。這いつくばってるのがお似合いなんだから、地に返してあげてるんだ。
そうすれば―また、あの色が見えてくるはず。ね、キミも戻ってきてくれるでしょ?……リーチェ。」
「キミの笑顔が見たいよ、」
「くらいんだ、なにもきこえない、なにもみえない。青い空もキミの瞳もキミの羽ばたきも。
アレを感じたときの気持ちはなんだっけ。胸が込み上げるアレはなんだっけ。
―ぜんぶ、もう、ただ、くらいんだ。……ぜんぶ、きえていくような、
……そうだ、おもいだした。この色は、いつも僕の足元に在った。
ほら……僕だったんだ。―影と、荊と、ひとつに、たすけて、くらいよ、リーチェ、」
2018-02-14 16:04:35 +0000