【はじまり】ミーミャンテ【王女】

アヤカワ

国の為に見知らぬダレかと結ばれた 王子と王女の物語
申請企画 太陽と月 はじまりのカタチ illust/64996896 に参加させていただきます。

◆ 白き秘石の都 フライスパッチェ

 美しく静かな入江を国の玄関とし
 猫の額ばかりの平地と
 険しい山々から成る小さな国

 山中に存在する複数の塩湖が名物
 塩を中心とした交易で栄え
 一時期は大国に劣らぬ影響力を持っていた

 今は昔のような賑わいはなく
 何の変哲もない小国である

 街を歩くと白い煉瓦と濃紺の看板が目につく
 金の縁飾りは全盛期の流行の名残
 一部の外国人には上品で美しいと評され
 保養地として好まれている

 常夜の海の先
 月の光に照らされ浮かびあがる様子から
 「白き秘石」の別名で呼ばれる

◆ ミーミャンテ・クロフライス

 フライスパッチェの第一王女
 現国王と妾との間に生まれた娘
 正妻が長らく子宝に恵まれなかったこともあり
 民の見本たる君主たれ、と厳しく育てられた

 真面目で努力家だが不器用
 感情表現は特に苦手
 数年前、正妻に男子が生まれたことで
 自身の存在意義や理由を見失いつつある

 政略結婚については
 王女として望まれることのひとつとしてしか認識していない
 そのためか恋愛をテーマとした小説や劇にはピンとこない
 顔を合わせるたび申し訳なさそうに表情を曇らせる父母の姿に
 心を痛めている

◆ 婚姻相手 陽音の森 アドレング シルド さん illust/65814948

 「はじめまして。あたたかな歓迎に親切なお言葉、感謝いたします。
  不束者ではございますが、何卒よろしくお願いいたします」
 
 まぁなんて気の利かないセリフ。
 言葉が震えなかっただけで上出来だわ、と自分を励ますことにする。
 せめて笑顔がもう少し柔らかければ、口癖のようにそう繰り返した教師の言葉を
 少し懐かしく思ってしまったのは、随分と遠くにきてしまったからかも知れない。
 『夫婦』という言葉が、現実感を伴わずに、耳に残った。
 
  ‥ ‥ ‥
 
 国の代表として、けして婚家に、そして旦那様に恥をかかせぬこと。
 そうして詰め込まれた知識の役に立たなさが歯がゆく、もどかしい。

 「――いえ、あの……ご心配をおかけして申し訳ございません」

 気遣いの言葉に、うまい言い訳が思いつかず、反射的に頭が下がる。
 顔をあげると彼は少し困った様子で、それからふと小さな提案を口にした。

 不得手と断りをいれる程には聞き苦しいといったこともなく
 彼の奏でる音は私の耳には充分に美しく聞こえた。
 
 就寝前、"月の間"でお気に入りのクッションを抱きながら
 その音を思い出し、故郷の詩を口ずさんでいると
 そんな表情もなさるのですね、と
 突然声がして思わず悲鳴をあげそうになった。

 驚かせるつもりはなかったのですが、と
 笑ってふわりと細くなった目はイタズラが成功した子どものそれで
 つい「知りません」などと子どもじみた言葉を返してしまう。

  ‥ ‥ ‥

 「望まれるまま、求められるままに、
  そのための努力さえしていれば認めてもらえるはずというのは、
  とても幼い理屈で……なにより怠慢でした。

  "どうすべき"ではなく、私自身の望みとして申し上げます。
  シルド様、どうぞ、貴方の側にいることをお許しください」


 "親愛なる"見知らぬ誰か、だった王子様と王女
   聞き分けのよい二人の子どもが いつしか寄り添い
     小さな花を咲かせるのはそう遠くない未来のはなし


‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥

<申請について>
特に制限事項はございません。
どちらかといえば嫁入りをイメージしておりますが、婿取りも可能です。

 →2017.11.19.ありがたくも素敵なご縁をいただきました。
  既知関係は引き続き募集しておりますので、お気軽にお声がけください。

婚姻相手様にお渡しできるものの一例は下記のとおりです。
 ・塩とそれに関する技術や知見
 ・海産物、貝殻を用いた装飾品
 ・商取引の知識と交渉術
この限りではありませんが、ご参考までに。

交流や記念絵は"できたらいいな"くらいのふわっとした認識です。
公式非公式ともに描けるとき描けないときのムラが激しいのでタグはつけておりません。
無理のない範囲で描いたりお話できれば嬉しいです。

キャプションは随時編集します。
何か問題や不備がございましたら、教えていただけると幸いです。

素敵な出会いがありますように。
どうぞよろしくお願いいたします。

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2017-11-13 14:04:47 +0000