恨めしくて、妬ましくて、憎らしくて、羨ましくて、自分の醜さに気付き、弱さを知り、汚さを思い知らされて、
それでも泣きたくなるほどまぶしく思うから、
これはきっと恋なのでしょう。
真名海累は『日常』に恋をしたのでしょう。
例えば友達の靴の音
例えば小さく響くペンの先
例えば窓ガラスを鏡にして踊った放課後
例えば他愛無い話をした帰り道
例えばブランコに揺れながら啜った缶コーヒー
例えば決して届かない背中
例えば当たり前のように紡がれていく命
焼けつくような恋をしました。
精一杯の愛でした。
自分は一番だけど、天秤にかければあら不思議
不思議とゆらゆら釣り合って、
であれば自分を賭ける他ないと
愚かにも思ったものですから
自分の全てを賭けました。
「持ち主が心剣を破壊する」
とうにわかっていた答え、誰もが知っている心剣使いの常識。
「主人の心が変われば心剣も変化を余儀なくされる」
であれば、賭けるべきはそこでしょう。
全てを賭けるべきはそこでしょう。
剣が割れる。
確かに女の断末魔が聞こえた。
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冬の闘乱祭がはじまる前、真名海累の玉鋼学園退学が伝えられた。
心剣破壊をし、心剣使いとしての素養を失ったためだという。
その裏で、「王子は勘当されたらしい」と噂が広がった。
あくる12月。
真名海家長男に待望の第一子が生まれた。
女の子だった。
2016夏【illust/57108437】
2016冬【illust/60107040】
2017夏【illust/62974331】
人魚姫の恋はいつだって 泡になって消えていく。
王子さまはいつだって 愛の力で呪いを解く。
2016夏【illust/57108437】
2016冬【illust/60107040】
2017夏【illust/62974331】
2017-11-07 14:54:29 +0000