特殊ユニタリかつエルミートな行列の固有値
アライ「フェネック!今日はこれの固有値を計算してみるのだ!」(図1)
フェネック「これはー?」
アライ「”りょうしりきがく”?に出てくる、5状態系の角運動量の固有状態なのだ!さっそくscilabにつっこんでっと・・・」
フェネック「アライさーん、急いじゃだめだってばー。この行列はなんだったかな?」
アライ「だから、固有状態なのだ!」
フェネック「固有状態ってことは、規格化されてるはずじゃないかー」
アライ「ってことは、これはユニタリなのか!?Aエルミート共役A'からAを引いたA'-Aは・・・ふぇええええ!?ゼロ行列になったのだ!」
フェネック「アライさーん、またやってしまったねえ。それはエルミート行列の定義だよー」
アライ「そうなのだ!ユニタリ行列の性質は、逆行列を引いたこっちだったのだ!A'-int(A)」
フェネック「どうだったー?」
アライ「すごいのだ!こっちもゼロ行列になったのだ!!ってことは、ユニタリかつエルミートということなのだ!」
フェネック「エルミートとユニタリは、数でいうところのどういう雰囲気だったかな?」
アライ「えっと・・・エルミートは実数で、ユニタリは・・・オイラーの公式なのだ!」
フェネック「そうそう、実際、エルミート行列の固有値が全部実数で、ユニタリ行列の固有値は全員、複素平面の単位円周上にいるよねー。ってことはー?」
アライ「エルミートかつユニタリな行列の固有値は・・・実数かつ”絶対値が1”だから・・・、プラス1とマイナス1しかありえないのだ!やっぱりフェネックはすごいのだ!」
フェネック「アライさーん、この行列の行列式(固有値の積)を計算してみてよー」
アライ「任せるのだ!この文字をscilabにつけてっとdet(A) 1になったのだ!abs(det(A))じゃなくても1になったのだ!すごいのだ!実は特殊ユニタリだったのか!?」
フェネック「そういうことになるねー。じゃあついでに、トレース(固有値の和)も計算してみてくれるー?」
アライ「簡単なのだ!対角要素の和だから、これも1なのだ!すごいのだ!いちざんまいなのだ!」
フェネック「ここから言えることは何かあるかな?」
???「待って!ここから導き出される結論は、全部お見通しよ!」
アライ「キリンさんなのだ!こんにちはなのだ。」
フェネック「こんにちはー」
キリン「こんにちはー。行列Aの固有値探しをしているのね。以上のことをまとめると
・Aは5次行列だから、固有値は5つある
・Aはエルミートだから、固有値は実数
・Aはユニタリでもあるから、固有値はプラス1かマイナス1で、5つ全部掛け算すると1になる
・Aのトレースは1だから、固有値を全部足すと1になる
・行列式は1
掛け算してプラス1になるということは、-1の固有値は偶数個
可能性としては1,-1,-1,-1,-1か1,1,1,1,1か、1,1,1,-1,-1がありえるけど
前者2つはトレース1にならないから却下。
つまり、固有値は、1,1,1,-1,-1ね!!!」
アライ「おいしいところをキリンに全部持っていかれたのだ~」
フェネック「アライさんなら手計算でいいとこ魅せられるよ~」
アライ「おおー!その手があったのだ!任せるのだ!
まず、Aの中身に4で割ってるのがあるから、Aを4倍して、λを固有値として、4λ倍した単位行列で引いて、行列式を求めるのだ。(図2)
2列目に2列目+4列目を代入して(図3)
それから、2行目に2行目-4行目を代入したら、掃き出し法が楽になるのだ(図4)
4次の行列に次数が1つ減るから、
1列目に1列目+4列目を代入して(図5)
今度は、3列目に3列目に、(4λ)/(-i4)倍した4列目を足すのだ(図6)
また掃き出し法がしやすくなったから、次数を1つ減らして3次の行列になったのだ。
ここで、同類項でくくって行列式の外に放り出して、計算をしやすくするのだ。
それから、3行目に、3行目-1行目を代入して、掃き出し法を行うのだ。(図7)
2次の行列式まできたら、もう迷わないのだ!無敵の布陣なのだ!ちゃんと3重解と重解を出してやったのだ!」
フェネック「おおー!λの係数、マイナス4の5乗-1024がちゃんと出てるよ~すごいよアライさん!」
アライ「アライさんは、不滅なのだーーーー!そしてキリンさんも、すごい推理力なのだ!」
キリン「えっへん!アライさんも、器用だねー」
2017-11-02 23:35:14 +0000