「━━それでね!バルネウ峠の山賊達にこう言ってやったの!
『あなた達、掃除洗濯も出来ないの?ママに叱られちゃうわよ!』って」
「ちょっと険悪なかんじになったんだけど、そこはこの私のイキオイとノリで
掃除と洗濯、炊事もやってあげたのよ!」
「そこの連中は粗暴だけど、巡礼の小娘を襲う程、下衆でも無かったからね!
私が世話してやった時なんて、しょっちゅう『村に帰りたい』とか
『戦さえなけりゃ俺も嫁さん位は…』なんてぼやいてたし!」
「え?変なことされなかったかって?山賊の頭と古参の数人が
うちの故郷の近くの訛りでね?その辺で馴染みのジョークと童歌をそらんじたら、
『俺たちゃ確かに悪党だが、同郷出身の巡礼者にゃ手を出せねぇ』…とかなんとか庇ってくれたのよ」
「一週間くらい滞在させて貰ったら『気風が良くて料理が美味いし、嫁に欲しい』とか言ってきたから
笑顔で『神様は別として、あなた達のママに誓って、真面目に畑仕事できるようになったらね!』って
断ったわよ。しょんぼりしてたけど、それはあの人達の自業自得って奴ね」
「怖くなかったか?…うーん?それは別に。━━だって、怖がってる相手を害するのは誰だって出来るけど
雰囲気に呑まれず、ちゃん笑顔で話して、一緒に食事して、お互いの身の上話をして
それでオマケに同郷の巡礼者はそうそう襲えないわよ」
「多分、元々が脱走兵だったから追いはぎと恐喝、通行料の要求とかで
殺しが大好きな気狂いじゃなかったのも助かった理由なんだけどねー
…私の出発間際には『故郷に帰って真面目に働くから、旅が終わったら嫁に来てくれ』
とまで言ってたし、もうあの峠で山賊の被害には遭わないと思うわよ?」
「どう?これが私の武勇伝の一つよ!題して『巡礼者の山賊改心』ってね?
ね、ね、お姉さん!面白いと思ったら、この巡礼の小娘にちょこっと投資してみない?
巡礼帰りにはもっとずっと沢山のお土産話を持ってくるし、他の巡礼者にもおすすめのお店って伝えるわ!」
「━━わあっ!そんなにまけてくれちゃう!?
ありがとうっ!
ええ、神様の御加護の有ります様にっ!」
■前回【illust/65250599】の一枚目より巡礼の少女
■少し気が強くて、家庭的で、話が通じる相手なら
いつのまにか懐に入ってて害せなくなる系の話術の持ち主。
Lv4程度の美少女系ザコモブ。
装備品は巡礼の服と鉄のダガーというド貧弱っぷり。
■尚、後ろの鎖帷子の人物(戦士、Lv15)を味方につけられれば、旅の成功率は大きく上昇する。
■因みにこの世界における戦士とは、魔術師の基本魔術
【イァーヴ クェム エドゥーエ(安楽死)】と呼ばれる、対象の生命活動を停止させる
即死接触魔法を無効化できる程の干渉抵抗を持つ者のみを指す。
これが効かない人間が所謂『戦闘職』であり
【トフィ・ルーヴ(火の太矢)】【オプイ・ルーヴ(氷の太矢)】【サドヴ・ルーヴ(突風の太矢)】
等の、物理的破壊を伴う魔法を使う必要性の有る相手となる。
■効いちゃう人間は大抵の場合兵士とか冒険者とか自警団とか山賊とかのモブザコになってしまう
世知辛いオリジナルのファンタジー世界のお話。
■『戦士(戦闘の専門職)』のいる世界での『冒険者(なんでも屋)』はガチで夢の無い職業筆頭。
昨今のライトノベル的冒険者に真っ向から喧嘩を売る旧世代TRPGのストロングスタイルでひとつ(・ω・)
■クリップスタジオで落書き&トーン貼ったものに着彩するテスト。
この位のクオリティなら落書き漫画とか描けそう(描けるとは言ってない)
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2017-10-05 00:18:00 +0000