ちょっと外で休憩をしていたところ、連れのことを考えた。
「(あいつ大丈夫かなあ、ケンカしてないかなあ…)」
ぼんやりと考えていると、突然光と共に自分の隣に何かが現れた。
それは、先程まで一緒にいた弟の姿をしていた。
こちらillust/65165360の流れをお借りしました。
スキシアドルさん【illust/65049108】
ハンツァーとスワード【illust/65059595】
この作品はお借りしたキャラクターの行動を制限するものではございません。
■↓以下、兄弟のお話。本文読んでから推進…
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兄弟は人間だった。
兄弟が幼い頃、親は吸血鬼と間違えられ人間に連れ去られた。
親がどうなったかは不明だが、その外見をよく引き継いでいた兄も吸血鬼ではないかと疑われる日々を送っていた。
兄は長く伸ばしていた髪をボサボサに切り、いつもフードで顔を隠していた。
顔を見られ、吸血鬼と言われる事を気にしていた。
数年後、兄はついに人間の手によって「処刑」と称され、弟の目の前で殺された。
闘う力がなかった弟は喚く事しかできなかった。
人気の引いた弟は兄のもとへ駆け寄った。
兄はまだ、かろうじて生きていた。
だが、生きているとも言えない程の瀕死状態で、どうする事もできない弟はただ泣きじゃくった。
すると弟の前に悪魔が現れた。
悪魔と契約を交わせば、治癒能力の高い吸血鬼になれる。
その血を飲ませた相手は、吸血鬼になる。
兄を助ける事ができる。
弟は迷う事無く契約を交わし、兄は吸血鬼となり一命を取り留めた。
吸血鬼となった兄はもう何も隠す必要がなく、解放的になった。
人間に全てを奪われかけた弟は、人間を憎むようになった。
怒りと恐怖を忘れられない弟は笑うことも泣くこともなくなり、人間を殺す事が生きる目的のようになり、余裕がなくなった。
兄は、自分が人生を楽しむ事が弟への恩返しであると感じた。
兄は、自分の心身全てを救ってくれた弟を助けてやりたかった。
人間をむやみに襲うのはよくないという事より、自分の家族が大事だった。
昔のように明るく笑う弟に戻って欲しかった。
だがそれは自分の都合を押し付ける事なのだろうかと、何もできずにいた。
どうにかしてやりたかったが、自分が口を出すことではないと感じていた。
それでもやはり弟が辛そうと感じていた。
閉じこもった弟を助けられるのは俺ではない。
他人とたくさん関わるしかない。
そのきっかけを与えるために、この会場に引っ張ってきたのだった。
2017-10-02 17:56:51 +0000