「カピタン・ブラーゴ、そういったドレスは足を閉じて歩くものよ」
「わかっちゃいるんだが…このヒールが暴れん坊でよ!」
猫の誕生祭【illust/64806982】にお邪魔します! 猫誕ステキですねー!!みんなステキだーやばーい!!
ブラーゴが履いているのはこちら【illust/64982638】であつらえていただいたハイヒール。最高です。
ネックレスのバックトップは【illust/64321756】でおみやげとしていただいた【呪歌の海域】illust/64128883 での戦利品。
上でカピタンと呼んでくださってるのはブラッケンブラーゴメンバー、レディ代表スゥイル嬢【illust/64036846】
…会場にはきっと到着しているはず!(謎の船長の圧)
青い薔薇には、さて誰との再会を願ったのか。
海賊ブラーゴ【illust/63998894】&多脚海賊船ブラッケンブラーゴ【illust/64010082】
pixivファンタジアRD【illust/63981060】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「久しぶりじゃねえか。元気か?」
「見ての通りよ。あなたも元気そう」
「どうだ、なかなかの美人になったろ? 俺自分では95点くらいつけてるんだけど」
「あと5点は何の減点?」
「そうだな… 男じゃないこと、かな」
「…言うかなと思ったわ」
「聞きたいんだけど」
「ええ」
「俺はもう、男には戻れないんだろ?」
「……」
「……」
「…知ってた、のね…」
「…なんとなくな」
「…そう、6年前あなたにかかった魔術は、それまでのあなたを上書きしたもの。経験、知識、記憶はそのままで、別の運命が上から重なって溶け合ったものだわ」
「溶け合った…」
「ええ」
「…一応、聞くけど」
「はい」
「…あれ、わざとじゃなかったよね?」
「そう…なの… 事故よ…」
「で―す―よ―ね――――――――――!!」
「しょうがなかったのよ…!!それにあなた…ずっと二股とか言ってるし!! いいかげんちゃんと本当のことを言ったらどうなのよ、あれは私と浅瀬の魔女があなたの取り合いをして―――――」
「その争奪戦が海賊団5団を巻き込んで大戦争になった挙句、海の歪みに到来した大嵐に巻き込まれプライズたる俺は深海の魔女の実験中のポンコツ魔術『性別転換魔法』を食らって女になってしまいました!」
「悪かったと…思ってるわよ…!!」
「そんなことじゃない」
「……」
「その嵐に巻かれて、深海の魔女は海にたたきつけられて死んでしまいました」
「……」
「なんで死ぬんだよ。魔女のくせに。なんとかできたろうが」
「…あなたよく言ってたじゃない、『海ではいろんな理由でだいたい死ぬ』って」
「……」
「それだけのことなのよ」
「それでいいのかよ」
「いいとかじゃないけど…どうしようもないでしょ。あなたこそ、それでいいの?」
「俺は」
青い薔薇の効果は、5分ほど。
それを思い出す。
聞きたいこと、伝えたいことを、ブラーゴは目を閉じて整理する。
「浅瀬のはどうしてる」
「月二回くらい、お花を持って来てくれるわ。来たら二時間一人で喋って、帰っていく」
「話せないのか」
「ええ、でも、前より仲良しになったと思ってる。貴方はどうなの?」
「何が?」
「親密な人はできた?」
「そうくるかよ」
「(ふふん)」
「…今の俺には無理だろうな。この通りどっちつかずだ。人間てのァ相手の中の自分の位置を探す。今の俺じゃ、誰も俺の中に自分が見えねえよ」
「あら、とても綺麗よ?」
「うるせえよ」
「やだ照れちゃって。照れるなんて、女の子ですっていってるようなものね」
「はいはいそうかい。……そっちは寂しくないか」
「そうね、不思議と寂しいと思わないの。賑やかなわけではないけど、静かなわけでもないわ」
『いつ死ぬかもわからねえ、殺されるかもわからねえ、そんな人生選んで来てんのに陸の女なんぞ選べるか!残される方が絶対不幸なんだ、ひとりの女を不幸にするくらいなら、誰からも羽根みてぇに軽い男の方がマシだろうが!!』
「……ひとつ聞きたかったの、ブラーゴ。私が死んで、どう思った?」
「悲しかったよ。お前のおかげで、誰も死ななかった。仲間もそうでない奴も好きな奴も嫌いな奴も、誰も死ななかった。なんで俺たちを助けて魔力を使い切ったんだ」
「私が、半人前だったからよ」
俺たちを。
俺を。
「やっぱり言わないのね」
「…何を」
「私の欲しい言葉を。でもそれを言わない貴方が、私もあの子も好きだったのよ。
―――時々、会いに行ってあげて。きっと、今カレの話とか聞かせてくれるから」
「……やなこった」
「…なんでよ!!」
「こんな美人ぶちかましてみろ、あいつ腰抜かして同性の道に走るかもしれん!俺はそんな重罪を犯すわけにはいかない!!」
「うるさいわよ!二股じゃなくても三十股くらいはしてたの知ってるんだからね!」
「お前は海賊ブラーゴをな~んもわかっちゃねえなぁ~」
「何よ」
「…(ええ声)七十股だよ」
「!!今ッすぐ死になさい!!七十人に死んで詫びるのよ!!」
「はっはっはっは!!死人が言ってちゃ世話ねえなあ!!さあそろそろ五分だ、帰って寝直すかァ~!!」
「もうッ!!ちょっとブラーゴ聞いてるの!?あんたなんか、あんたなんか二度と男に戻るなあぁ!!」
薔薇の魔法が消えていく。
三周目の旅は始まらなかった。
二周目の旅が終わらなかった。
ただ二周目の旅の荷物は、ほんの少し軽くなったようだった。
2017-09-24 14:58:57 +0000