【九十九路】春宵の隠者【最終期】

海乃
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九十九路の羅針盤【illust/60865485
新規(別家系の関係者)でお邪魔いたします。

■春宵の隠者 ソーン・エルデフォール

■外見は20代のまま・♂・181cm 一人称:私 二人称:君、お前 愛想はないが口数は結構多い
■ポイント:300pt(強靭:0 知能:300 器用:0 機敏:0 幸運:0)羅針盤:月光

「…随分と騒がしい国だろう。昔はもっと静かだったんだが…まったく、別世界のようだ。
 いや、良い変化だよ。この国が人の繋がりで発展していくだなんて、あの頃には想像もできなかった」
「無様な未練と後悔が作り上げた偽りの春の国。…そんなものは、もう存在しない。あの子が見た夢は、無事に形を成したのだな」

遠い昔にプリムフェルト【illust/61218298】という死者の集う国を興した死霊術師。
長い間姿を隠しながら国の歴史を眺めていたが、先代のプリムフェルト代表と子孫にあたる研究者によって正体を暴かれ、色々あった末に現在は表に出て国の運営に助言する立場にいる。

かつて興した国の現在【illust/63887151

◆素敵な絆を頂きました!
ゴーストガーデン/クラルテさん【illust/63936786
絆を結び、新たに"リヴェラ"という名を贈らせて頂きました!
彼女に貰ったものと渡したもの、それからずっと焦がれていた景色。幾つもの季節の果てに、やっと見つけた『春』への想いを込めて。

見慣れているようでどこか違う、静寂に満ちたこの庭園の主は淡く微笑みながら不審な来客を出迎える。
まるで全てを見てきたような目でこちらを見つめる少女は、夢見る瞳で"知っている"のだと言葉を紡ぐ。

「…そうだな、私も君を知っている」

あの国に訪れた新しい風、その始まりの一輪がこの地に存在していることは聞いている。
だからこそ、彼女に会うためにこの庭園を訪れたはず。なのに、顔を合わせてその表情に触れた瞬間に奇妙な衝撃を覚えた。

…楽園を統べる主は、いったいいつからこの地に一人でいたのだろう。
その孤独を知る身として、どこか胸が痛む程度にはまだ人間らしい感情を持っていられたようだ。



幽園に漂う未練のかたちと、その塊が迎えた末路の話。
咲き乱れる花々との他愛ないやりとりについての話。
彼女がこの場所で一人きりになる前、平穏だった頃の話。

――それから、自らを手折れぬまま幾度も迎えた朝の話。

庭園を訪れる度に彼女に関する知識は増えていき、同時に生まれるのは親近感とも好意とも言える、どうにも測りかねる不規則な感情。

それはおそらく一般的には愛着と呼べるものだと思われるが、あまりにも長い間一人でいたものだから、扱い方を定めきれない。
…その花を手折るくらいならいっそのこと攫ってしまえればいいと、そんな物騒なことを考えたところで告げられるはずもなく。

そんな折に彼女が申し出た『お願い』を好都合だと思ってしまったことも、やはり本人には言えなかった。

「君がそれを望むのなら、何に代えても叶えよう。…君はあの国を変えるきっかけをくれた人であり、私にとって恩人と言える存在だ。遠い昔に繋がった縁が、今の世で再び巡るというのも不思議な話だが…私が長年腐らせてきた研究を君の為に使えるというなら、役立てたいと思う」

言い訳めいたことを口にしている自分を可笑しいと感じながらも、本音と建て前は半々といったところだ。
以前なら、そのまま美しい場所で眠り続けている方が彼女の為であると考えただろうが―――今は、どうだろう。
眠りから目覚めた真白の花が新たな夢を描くというなら、それを叶えるのは自分でありたいと思う。

それと同時に、もし許されるのなら、その夢と同じ景色を見てみたいとまで考えてしまう。
…自分にまだこんなことを願えるだけの心が残っていたとは、正直驚いた。



そうして迎えた、彼女がクラルテの名に別れを告げたその日。
求められるまま与えた新しい名は、かつて何よりも執着し焦がれた景色そのもの。
彼女の無邪気な願いに応えようとそれなりに悩んで、少しでも似合いのものを渡せればと考えていたはずなのに、出てきた答えは拍子抜けするほど単純なものだった。

リヴェラというその名前は、きっと自分にとって長く触れられずにいた特別なもの。
いつか見たいと願った、未だ至れぬ実りの季節。

とうの昔に歴史から消えた祖国の言葉で、遥かに遠い憧れ――『春』そのものを示す言葉。


Episode:【novel/7802853

◇機動の高いカボチャ
プリムフェルトにガーデンゴーストの存在が馴染み始めた頃から妙に懐かれているカボチャ。
このカボチャの兄弟にあたる存在は今もなお成長し続けており、お化けカボチャになっているらしい。
いつからかソーンの従者を主張しはじめ、隠居時代から傍に仕えており最近は仕事をさぼると追いかけまわしてくる。

◇エルデフォールの手記
ソーン・エルデフォールという死霊術師が幼い頃から戦乱の時代の前後までを書き残していた研究記録。
プリムフェルトを興し、国の基盤となる魔法を編み上げたころにセルクイユ・アムに納められた彼の国の蒐集品。
巡り巡ってそれがプリムフェルトに戻った挙句、人の身を得て王になったと聞いた時は流石に動揺した。
生者のままであるソーンに刺さる刻針は、このときの縁で手に入れたもの。

◇二冊目の手記
150年ほど前からのプリムフェルトに関する記録が記された手記。一度手放した手記の代わりに、新たに書き始めたもの。
文の仰々しさと字の読み難さと余計な話の多さがまるで変わっていないと一冊目の手記に言われて少し凹んだ。

◇ミヨウケヒイナ
【御園の奏者】の目録名を持つ美しい歌声の小鳥。彼にとっては少し前の時代に国へ流れ着いた、貴賓箱の(元)蒐集品。
昔縁があった場所から来た客人として、国を訪れた時から静かに交流を続けていた友人。
長い間人と話す機会を持たなかったため、隠居をやめた今でも一番の話し相手。

◇氷の蝶
プリムフェルトのあちこちに飛んでいる、蝶のようななにか。
国内に揺らぐ形すら成せない小さな魂の欠片に、ソーンが気紛れに形を与えたもの。
それを国民が真似したことで、いつからかあちこちに輝く蝶が舞うようになったらしい。

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2017-07-19 08:34:05 +0000