「はじめまして、可憐な金魚さん」
「私も恥ずかしながら一人で出来る事に限りがあってね、きみがいてくれると嬉しいな」
◆高梨ひかり/女/26歳
のらりくらりと生きている独り者です。
昔の事故から足が不自由ですが、力が入りにくいくらいでそこまで不随なわけではありません。
◆素敵な金魚さまを救わせていただきました(7/17)
仙花さん【illust/63847017】
(有難くもお名前もつけさせていただきました。:illust/63971494)
——水槽の中で くすり、と わらったような気配であった――
風の噂に聞いた不思議な金魚屋。
家への近道に横切ろうとした夏祭りの隅にそれはあった。
店中に並べられた様々な水槽に誘われるように、不自由な足が動く。
「いらっしゃい。お好きな金魚を差し上げましょう」
胡散臭い店主の声を片耳に聞き流しながら店内を見渡すと、ひらりと尾びれが翻った。
帽子の上の金魚鉢の中から金魚が一匹、こちらを見たような気がした。
「この子を頂こう」
私が選んだのか、はたまたこの子に選ばれたのか、理由はないが確信はあった。
”この子だ”と、何かが告げたのだ。
「お客さん、帽子をお忘れですよ」
「…?それは陳列の飾りではないのか?」
「いえいえ、そいつの持ち物です」
——この金魚の。どう見ても人間用の帽子が。
不思議に思いながらも、帽子と共に連れ帰った。
この不思議はさらなる信じられない出来事によって
解決するのだが、それは一晩ほど先の話である。
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「…半ば信じていなかったが、これは驚いた。きみが本当に仙花なのか?」
「生きていれば不思議な体験もするものだなあ」
「人の世は久しぶりなのだろう?私もこの足だ。荷物持ちついでに一緒に出掛けないか?」
「ああ、やはり誰かが家で待っていてくれるのはいいものだね」
「きみの長い人生のひとときを、私という人間に預けてくれてありがとう」
叶うのならば、きみと最期の時まで—————
この気持ちは、親愛なのか、それとも……
いや、感情に名前を付けるのは野暮というものかな、優雅な私だけの金魚よ。
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◆金魚さまとの関係性につきましては特に希望はありませんので、
お相手の方と相談しつつ決めていけたらと思っております
外部もしくは支部でお話、イラスト交流などお付き合いくださるとうれしいです。
お友達も随時募集しておりますのでお気軽にお声がけください!
外部交流はtwitterになります。アカウント【twitter/kara9071】
企画終了後も遊びたい人間です。共有もしくは容認できる方だととてもうれしいです。
企画元さま【illust/62991598】
2017-07-12 09:59:07 +0000