[illust/62991598]…金魚救いふたつめ
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「御主人、どこかへ行くのか?
わしも連れて行ってくれ!」
: 泳二 -えいじ- / 雄 / 関西東錦
…人懐っこい雄金魚です。
癖の強い喋り方をし、右肩から胸、腕にかけて
水に泳ぐ金魚の入れ墨をしています。
…人間が気になりすぎて店舗に並べて頂きました。
それ故(?)救い主さんには常に懐き度がMAX。
ボロボロ金魚ですが、宜しくお願い致します。
: 救い主様
…素敵なお方に救って頂きました。
つっけんどんなのは照れているのだと信じて疑わない茉莉花さん【illust/63653626】… 御主人 / 茉莉花
『おう、金魚や。人になってねえで大人しくしてろ』
喧噪響く祭りの中で、一際うるさい店主の声。
あんなガラス玉の中じゃ息がつまっちまうんだがのう、そう呟いても襟首をつままれ引きずられてしまう。
人間は良い奴ばかりだと思ってたが、そうでもないらしい……はやく、誰かここから救ってはくれないだろうか。
『 』
己よりも若く見えるその青年は、自分の家に帰るや否やわしをバケツにぶちこんだ。
なんで、こんな、バケツ? バケツなら知っている、たまに池に転がっていたなあ……、
それよりもなんじゃこいつは、こんなんじゃ他の奴だったらきっとすぐ死んでしまうぞ…!
「……おい! ご主人、金魚の飼い方ひとつ知らんのか!」
「おうおうそんなに驚くな! お主がわしを買ったんじゃ!
わしは……すまん、名前はないんだ、まあ適当に呼んでくれ。宜しく頼むぞ!」
「なんじゃご主人、そこまで怪訝そうな顔をしなくとも……
……なあ、せっかく出会えたんだ、仲良くしてほしいんだがのう」
御主人はあまりわしの事を良くは思っていないらしい。
面倒なのだろうか、うるさいのだろうか、……いや、そもそも金魚が嫌いなのか?
「御主人! おはよう! 日の出の時間じゃ起きろ!」
「兄者……と、呼ばれるのは嫌か? いやわしはどちらでも良いんだが」
「どこかへ出掛けるのか、わしを置いて行くのか、寂しいのう」
「お主はとても若く見えるのう、一体幾つなんじゃ」
聞くと彼はまだ若い、己につっけんどんなのは、ああ、そう、
…―――よく聞く〝照れ隠し〟とかいう奴なんじゃろう!
「御主人がどう言っても、わしはお主が考えている本当のこと…すべて分かるぞ…!」
「なーーぁんじゃあ、御主人にも可愛い所があるのう!」
「なあ、茉莉花……じゃ、ないな! 御主人! 今日は何時に帰るんじゃ?」
人と、お主と日常を過ごすのが、こんなに楽しいとは知らなんだ。
「御主人! 学校はどうだった、他の人らとは仲良うやっとるか?」
「―――なあ、兄者…その…多分なんじゃがそこ、間違ってないか?」
(と、と、と、扉が開いた…! 少しくらい、外に出ても良いかのう…!)
「そうか……泳二か…良い名前を貰ってしまったなあ、嬉しい、とても、嬉しい……」
「なあ、御主人!」
「……御主人、ところであの熱い食べ物は何だったんじゃ?」
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…補足はこちら【illust/50997230】の素材を使わせていただきました…!
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2017-06-30 15:33:54 +0000