企画元:九十九路の羅針盤【illust/60865485】引き続きよろしくお願いします。
◆アリアナンナ・ガランサス・ノーレッジ
ポイント 190pt (強靭:0 知能:190 器用:0 機敏:0 幸運:0)
見た目10代・女性・153cm・雪の精霊種と人間のハーフ /「わたくし」「あなた」「~さま」
前期【illust/62992854】※続投です
ヴァルクガルド(今期:illust/63361868)王族の娘。
あらゆる黒魔術、禁術・呪術の取扱に長ける。
ある旅人より譲り受けた魔道具の加護により、傷ついても即時に治る、
痛みを感じにくいなど、おそらく不死身ではないが"死ににくい"身体の持ち主。
✿絆:ソアレさま【illust/63175149】
「……まあ。ここはね……あまり教育にいいものは揃っていないのよ。
でも、いいわ。あなたみたいに白くて、ちいさくてかわいい子の先生みたいなことをするのは二度目だわ」
「手紙を書くなら、いいものがたくさんあるわ。絵の入った便箋だとか……売ってもいるけど、わたくしのものも分けてあげる。
それからインクね。これは中に粉が入っていて……きらきらして綺麗よ。わたくしの好きな、夜空の色……」
「あなたの手、とても暖かいのね。わたくしはいつも冷たいそうよ。そういう生き物だから、仕方ないのだけれど。
……熱くはないわ。なんとなく伝わってくる、というくらいね」
「ずっと晴れの国だなんて、わたくしには想像がつかないわ。そこまで遠くに行ったことはなくて……。
……ずっと雪で変わらないけれど、わたくしはこの国が楽しくて好きよ。それぞれよいところがあるのでしょうね」
「―――ああ、ごめんなさいね。この頃どうにも、急に眠たくなることがあって……。
……もしも、次に目覚めた時のわたくしの様子が、すこし違うようだったら……
……ううん。なんでも……なんでもないわ」
「平気よ、このくらい一度に運べるわ。あっ――― ―――……危ない」
「わたしはね、この子を守るための存在。身体を奪おうだなんて思っていない。
優しいけど、危なっかしいからわたしがいないとだめなのよ。
ずっと恐れていることや、ずっと待っているものから目をそらして、気をそらして……」
「わたしが誰かって? それは当然。"この子自身"」
「この子が強い心をもてるようになるまで、見ていてあげてほしい。その時は……
"わたし"はいなくなるのだろうけれど」
***
「……そうね。どちらのあなたも、あなたなのでしょう。
そして……わたくしはわたくし。他のどんなものでもない……」
「大切なことを気づかせてくれてありがとう。どちらの"わたくし"のことも認めてくれてありがとう。
わたくし、やっと前を向いて歩いていけるわ」
「これからも色々な道を歩んでいくあなたへ。ひとつだけ大事なことを教えてあげる。
誰かに言いたいことがあったら、ちゃんと……相手に伝えたほうがいいわ。
言えなかった後悔のほうがきっと大きくなるから……」
「……何かあったのかって? ううん、ずっと昔の話」
(……ほんとうは、今ではあまり後悔していないの。
父上を困らせてしまったでしょうし……
あのひとに言っても、たぶん、"よくわからない" って返ってきたと思う)
「ええ、大丈夫。大丈夫よ。ここにいて、話してくれたあなたのこと、
わたくしが知っているし……ずっと覚えているわ」
「落ち着いて……。いい子ね。よい夢を見ましょうね。歌がいるかしら……」
「も、もう、笑わないで。上手くないのよ。母上だってこんなだったもの」
◇
「やっとあなたに向き合える。いままでわたくしを守ってくれて、ありがとうね。
あなたと一緒になりたいわ。その強さをわたくしに与えてほしいの」
「あなたはどこにも消えたりしない。ずっとずっと、わたくしの中に」
鏡の中の"自分"が笑って頷いた。―――意識が遠くなる。
……
少しだけ眠ってしまったようだ。
目の前の鏡を覗く。うつっているのは"自分"そのものだった。
◆
2017-06-21 09:15:41 +0000