【九十九路】アイデンティティ【第五期】

空閑
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 九十九路の羅針盤¦illust/60865485

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アイデンティティ(・スノゲルバ)|Identity
22歳¦女性¦167cm¦太陽
一人称/あたし、二人称/あんた
前期¦オートノミー/illust/62887360
 「あたしにとって父というよりも兄みたいなものだった」
 「お可哀想に、けれども幸福そうでした」

オートノミーが絶命した海際で生まれ落ちた飛。
 彼女の赤はオートノミーの血液の色。
 好戦的で、よく笑う。
 舐められるのを嫌い、すぐに手が出る節がある。
 飛としての能力はもうほとんど忘れ去ってしまっているが、それでも本能的に飛としての自覚はある。
 この身が赤に染まろうともまだ、あの空への情景を捨てられない。

 手に携える剣はアイデンティティが生まれ落ちた後、父と定める人の血液が凝固して生まれた剣。
 刃は紅く、振るうと閃く。
 時折水面が揺らぐように赤の中に深い青色が覗く。

 今日も彼女は戦場に立つ。
 仕えるべき主人を探して、自分の闘争本能を満たすために。

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飛¦novel/8210122

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「争いは嫌いですけれども。かと言って残虐に屠るのも好きではないんです」
 

アイリ
26歳¦女性
一人称/私(わたくし)、二人称/貴方様、御前

アイデンティティのもう一つの人格。
 受け持つ感情は「嘲る」「許容」。
 まるで聖母のように微笑んではいるが、その本質は残虐である。
 けれどもシャフツベリのように水路に毒を流したりはしない。
 ただ、自生している夾竹桃やそこいらの草花を使い薬と毒を作り、思考を鈍らせてその人物を使いものにならなくする。
 また、強く死を望む者には苦しむことなく息絶えられる薬を渡して、飲むまで笑顔で眺めている。
 それが間違っているとは思っていない。

 しとやかで女性らしい。
 絶えず微笑みを湛え、全ての生物を慈しむべき弱者として見ている。

 
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 あの方ですか。私達のお父様と言えるお方。彼が海に足を踏み入れた時、それはもうひどい傷を負っていました。
 誰がどう見てももう助からないとわかるほどに。大量の血液を海に垂れ流しました。
 まだ人としての体を持つ前の私達は彼を見ていました。
 絶える前の彼の顔を見ていました。
 それはそれは、満足そうで。
 突き立てられた剣から読み取った記憶は錆臭く、沢山の方々と満足行くまで戦い抜いたようです。
 そのまま彼は海に沈みました。
 その記憶を読み取って生まれた私達。彼の生い立ちも両親も知っております。
 決して幸福とは言えない人生で、何故貴方は最期笑えていたのですか。
 私達にはわからない。

 -そう、設定されているものだから。

 
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2017-06-13 14:56:15 +0000