【九十九路】宝石の魔法少女エズメラウダ【第四期】

あべ
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✦九十九路の羅針盤【illust/60865485】 ✦この家系のこれまでのあらすじ【novel/8078999

宝石の魔法少女 エズメラウダ [本名:好 翠玉(ハオ ツェイユー)]✦
(詳細はあらすじに記載の各期のプロフィールにて)

✦先代(母):㈱ロペスゼデ臨時所長メグ・タービュレンス/花の魔法少女マルガリーダ【illust/62427681
✦先代絆相手(父):怪傑クリスタルハート/好 水晶さん【illust/62381336
✦姉:怪傑ローズクォーツハート/好 薔薇さん【illust/62774451

✦今期所長/魔王エクスリダオン:リオン・エスペルトさん【illust/63061926

✦(5/26)素敵な絆を結ばせて頂きました! ルイナさん【illust/62840280
原因不明の雪が降っているので調査して欲しい――とある町で、俺はそんな依頼を受けた。
その町は一年を通して温暖な気候で、一番長生きをしている町長でさえこんな事は初めてだと言う。
何か良くない事の前触れでは、と専門家を呼んで調べさせたものの、彼らにも訳が分からないとの事で、
それで何でも屋に所属している俺にお鉢が回ってきたという事だ。
彼らに分からないんじゃ正直俺だってお手上げだけど、雪を降らせているものの原因や目的によっては、
“俺”になら何とか出来るかもしれない。…あまり気は進まないんだが…。
万一に備えて変し――臨戦態勢で向かった現場にいたのは、俺とそう歳も変わらなさそうな女の子だった。

「ねぇキミ、そうそこのオマエ♪ 近頃ここらを雪の花畑にして回ってるプチ迷惑な奴ってアンタだね♪
 何を思ってそんな事してんの、事と次第によっちゃこの宝石の魔法少女エズメラウダちゃんが放っておか――
 え、ああ、そう。まあ、素直で宜しい♪ 体質だってんなら仕方ないし、悪気があった訳でもないんだし?
 依頼主にはテキトーこいといてやるから、話がこれ以上デカくなる前にどっかズラかりな♪ アディオス♪」


聞けば彼女は雪精で、旅の途中にたまたま降り立った先でこんな騒ぎになっているとは思わなかったと語り、頭を下げた。
何か悪の陰謀だとかそういうのでは無くて良かったが、逆に彼女に悪い事をしてしまった気がする。
早とちりはダメだな、と胸中で反省しながら、変身を解くためにその場を離れようとした。…のだが。
どうやらかなり厄介な事になった。
彼女が俺の腕をがっしりと掴み、魔法少女って何?と、目を爛々と輝かせていたのである。
まずい。非常にまずい。俺が“オレサマ”でいられる時間は、あまり――

「……今見た全てを記憶から消し去ってくれ……」

彼女の前で無様にも、魔力切れを起こしてしまった。
トンキチな衣装のトンチキな女子が目の前でいきなり陰気な男に変わったら、誰だって戸惑うしドン引きするに決まってる。
今すぐここから消えてしまいたい。
しかし、彼女は驚きこそしても嫌悪した風ではなく、今のは何かと飛びつかんばかりの勢いでこちらを質問攻めたのだった。
そんな事は初めてで、俺は現金にも――良く見たらこの子可愛いなとか、失礼かつ浮かれた考えで頭がいっぱいになっていた。

「えっと、何処まで話したっけ…俺はつまり、さっきみたいに変身して魔法を使って悪いやつらと戦う一族の血を引いてるんだけど、
 ルイナ、ちょっ何処行くんだよ!? 珍しい花があったって…いや、俺も花とか詳しくないから分かんないけど…。
 ああ、でも綺麗な花だよな…何か、何となく……ル、ルイナに似て……って!!今度は何処行ったんだよ!?
 いや聞いてねえなら別にいい何も言ってない!! だから顔を覗き込んでくるなって…!」
「へっくし! …いや何でもねえよ、魔法少女業なんてやってっと、っくしゅ!…噂する奴が絶えねーんだ、くしゅん!
 はっくしゅ、くちゅん!…か、風邪じゃねーからなこんなん。別に寒かねーし。平気だし。
 そういや飯の事だけど、あんた食べられないものとかあるか? 特に無いなら俺の弁当半分やるよ」


ルイナはなかなかにお転婆な女子で手を焼かされたが、その分楽しくもあった。
だから彼女が別れを切り出した時、正直寂しさの方が勝った。このような体質だから、一つ所に長くは留まれないとの事。
勇気を出して、俺も一緒に行こうかと声を掛けてみたが、それはやんわりと断られてしまう。
けれど一つの約束をした。何年か後にもう一度会いに来る、その時は――と。

「風邪引くなよ、ってあんたに言うのも変か。すっかり世話焼きの血が覚醒しちまったんだから、責任取ってくれよな。
 元気で帰ってきて、また面倒見させてくれなきゃ、承知しないぞ。…良い旅路を、ルイナ」


季節は巡り、何度目かの彼女と初めて出会った日を迎える。初夏だというのに霜が下りる程の冷気。空には突然の黒い雲。
雲が真綿のような白い雨粒を吐き出した瞬間、期待に心を躍らせた自分がいた――。

「おかえり、ルイナ。今日、何が食べたい?」


☆ありのままの自分に興味を持ち、受け容れてくれた女性と心の路を繋げる事が出来たエズメラウダ!
余談だがちゃんとしたプロポーズが出来たのはもう少し先の話だったとか!頑張れ翠玉!
一方で一時は滅びかけていた魔王側にも大きな変化が…? 第五期へ続く――! <第四期 完>

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2017-05-12 18:57:48 +0000