【九十九路】冥狼の民【第四期】

アキナリ
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企画:九十九路の羅針盤【illust/60865485】に参加させて頂きます

5/11 絆を結びました!
5/19 キャプション編集致しました

かつて血を好み、戦を好み、侵略をすべてとした一族がいた。
 侵略に失敗し滅びるはずだったその一族は、今自らの生き方を模索し始める。

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✣名前:ノルベルト(https://twishort.com/Bvdmc)
✣所属:冥狼の民(https://twishort.com/Avdmc)
✣個人年齢:20歳
✣一人称その他:俺/二人称:あんた/身長:178cm/体重:65kg
✣ポイント75pt:(強靭:30 知能:7 器用:1 機敏:37 幸運:0)
✣前期絆国銀煙鬻ぐ交易国 アルルギュリア:リュアル・ユルハイネ.Dol様【illust/62419611
 「父さん、そんなに心配しなくても俺は大丈夫だよ。
   ……本当の息子でもないのに俺のことをここまで育ててくれてありがとう。本当に感謝してる。」
✣前期絆国・今期銀煙鬻ぐ交易国 アルルギュリア:エリィデ・ユルハイネ.Dol様【illust/62849425
 「エリィデ、土産を買ってきたんだ。海の向こうの町で仕事があって、気に入ると思うんだけど…」
✣今期絆国祝雀 春露様【illust/62741569

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ぎんのおおかみのしゅき
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傭兵の斡旋所で、そこにはそぐわない小さな鳥をみた。
何かを頼んでいる様子だったが、取り合うものは居ないようだった。
なにかを必死で頼んでいる様子はなぜだか見過ごせなくて

「話を聞かせてみろ」

そう、声をかけていた。

 ***

そのちいさいのはどうやら声が出ないらしい。
その身も、声も、そういう「呪い」だときいた。
見過ごせなかったのは同じ呪いを持つものの星のめぐり合わせとでもいうのだろうか。
ちいさいのは名前がないのだという。
不便だな、と思いながらも俺はちいさいの、と呼ぶことにした。

いくつかの街を越えた。
ちいさいのが言う街はお世辞にも環境がいい場所とはいえなかった。
夜盗・ゴロツキ・魔物がうろつく場所。
ちいさいのは何を焦っているのか、好んでそういった場所に行こうとする。
小さいからか、そのちいさいのは目を離せばふらりと飛んでいきそうになる。
それを羽をつまんでとめたことも一度や二度ではない。
俺たちは約束を違えない。それは死に直結するからだ。
勘弁してほしい。ため息が尽きたことはなかった。
それをちいさいのが不安そうに見ていたのも知っていた。
俺は、もっと言葉をかけるべきだったのかもしれない。

 ***

俺はちいさいのに俺たちの体質を伝えたことはなかった。
ちいさいのがこの姿を怖がらせると知っていたから。
「夜は部屋から出ない、絶対にだ」そういい含めていた。
その、はずだった。
その街にはちいさいのが求めているモノが近いようで、焦っているのも知っていた。
わかっていたのに。
彼女は夜に外へ出てしまった。

 ***

この夜のことは忘れられない。
彼女のおびえきった顔。倒したやつらがじゃない。
きっと銀の姿をした俺に、おびえていたんだと思う。
ぼたぼたと泣き出すちいさいのに、気づけば俺は体を寄せていた。

朝になり、呪いが顔を出す。
狼の姿から人の姿へ。
そういえば彼女を背に乗せていたことを忘れていた。
目を開けるとまるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている彼女がいた。
鳩ではなく、雀だったか?
それが面白くて思わず笑ってしまった。
その日、俺は彼女に自分の呪いを伝えることを決めた。
この血に流れる呪いと、自分はもはや消えていく種族であること。
それを聞いて彼女が何を思ったのか、その小さい瞳が揺れたのをみた。

彼女の話を聞いた。
たまに「うまそうだ」と思ったことに合点がいった。
彼女は人に戻っているのだそうだ。
そして名前がないことと契約のこと。
ちいさいのが何を思って何を必死に探してきたのか、わかったような気がした。

***

季節が変わる。
冬から春へ。
春から夏へ。
その頃から彼女の旅に付き添うのはもう仕事ではなくなってきていた。
だから「契約」の話を出されたときにはもう俺の答えは決まっていた。
人に戻る運命だという彼女を最後まで見守りたいと思ってしまった。
「春露」
春色の翼、そして春から夏へと変わっていく彼女へ送る名。
泣き出してしまう彼女に、どうしたらいいのかわからなくて抱きしめた。

 ***

そのときがくるのはわかっていた。
俺たちにとってはほんの短い時。
あまりにその時間は短くてあまりに満たされたもので。
銀色の涙が自分の瞳から落ちるのをみた。
失いたくない、同じときを生きてほしい。
でもそれはかなわない望みだと、その望みは叶えられることがないのだと
彼女に言われていた。

これはかなうべき望みではなく、願うべき祈り。

『いつか君が生まれ変わるのなら、また君と出会いたい』

叶わなくてもいい。だって俺はもう幸福だったのだから。

一匹の銀色の狼が野を駆ける。
行き着いた丘の上で、大地を震わせる遠吠えがなり響く。
星が流れ、血に流れる呪いがゆっくりと解けていくのを感じた。

(他の種族を愛したことでノルベルトの呪いが解呪されました)
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✣民
 元の形態は狼であり、星の呪いを受けていることが条件になります。
✣既知・友人
 特に縛りはありませんので
 既知等ありましたらお気軽にどうぞです!

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2017-05-10 01:50:52 +0000