SCCお疲れ様でした【小ネタ追記】

豆猫文庫

ご訪問くださった方、差し入れくださった方、どうもありがとうございました。
残念ながら当日ご縁が無かった方には書店通販も開始していますのでどうぞご利用ください。
■新刊
【剪定事象】
とらのあな → http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/53/13/040030531302.html
■既刊
【碩学ハニーとラブ・マジック】
とらのあな → http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/51/55/040030515578.html
CQ → https://www.c-queen.net/i/2220500003

吉尾の当日無配はこちらに再録させていただきました(novel/8143289
あとジャンル違いではありますがグラブルのC91で無料配布したドラスツSSも同時にアップさせていただきましたのでこの場を借りてご案内させていただきます。(novel/8143118
べ、別に忘れてたわけじゃ(2回目)

次回の参加は6月のシティになります。
予定しているのは碩学シリーズ(いつの間にシリーズになったんだ)で、吉尾とあやで尻を書く予定です。
なんか『碩学ハニーと~』は頭の悪い・エロ・リバ三重苦シリーズで夏やら秋やら予定ができてきてしまったのでついて来られそうな方いらっしゃいましたら今後ともよろしくお願いいたします。

なお、pixivで絵をアップしたら相方あやが暇なときに小ネタ書いてくれるって言ったからしばらくこっちも頑張りたいんですけどCCCイベと両立できるのか不安です。
愛の為に生きます。

文責/吉尾

★追記…自分で小ネタができたので自分でも書きましt
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【花冠の王に約束を】

 レオナルドが持つ工房には二つある。
 購買のような扱いとなっているダ・ヴィンチちゃん工房と、そこで取り扱っている製品や彼の私的な研究活動に使われている私的な工房だ。
 ロマニが休憩がてら顔を覗かせるのは専らこちらの方であり、レイシフトを終えた直後の反省会を兼ねた仕事後の一杯(コーヒー含む)を、この時もレオナルドと共に嗜んでいた。
「ドクター、やっぱりこちらだったんですね」
「やぁ、お帰りマシュ」
 声を掛けて顔を覗かせたのはすっかり支度を整え普段のパーカー姿となったマシュで、その後ろからはマスターである少女が悪戯っぽい笑みを浮かべてさっと飛び込んできた。 
「はいっ、これあげる!」
「な、なになに!?」
 唐突なことに驚いて零しかけたコーヒーをソーサーの上に戻すのに精一杯で、それを防ぐことのできなかったロマニの頭には、少女の差し出したものがすぽりと被せられていた。
「え、これ何?なんか青い匂いが……」
 ふわっと香るのはあまり嗅いだことのないような草の匂いで、慌てて頭に手をやればもしゃっとした丸っこいものに触れた。
「あんまり触っちゃダメだよドクター。ちょっと壊れやすいかもしれないんだ、上手くできなくて」
「そんなことありませんよ先輩、上手です。ドクター、こちらもどうぞ」
 後から追いついたマシュからも差し出されて、そちらは目の前に掲げられたことでようやく自分の頭に載せられた物が何なのかを理解した。
 白くて小さな鞠のような花が、いくつもいくつも連なってひとつの大きな輪になっている。茎の部分を編んで作られた、シロツメクサの花冠だ。
「これは少し大きくなってしまったので、首飾りにどうぞ」
「こっちは手首がちょうどいいかなぁ。マシュは手首が細いからちょっとぶかぶかだったんだよね」
 少女たちは楽しげにその時の様子を話しながら、次々とロマニの身体に白い花飾りを着けていく。
「レイシフト先で何をしてるのさ」
「調整に時間がかかってたのは誰でしたっけー?」
「うっ……すみません……」
 どうやらレイシフトの直後から行動開始まで、観測機器の調整の為にだいぶ時間が空いてしまった時に、暇をもてあましていたようだ。
 助けを求めるようにレオナルドを振り返れば、彼は楽しげに笑い声を立てた。
「なかなかいいんじゃないか。可愛いぜロマニ」
「僕は女の子じゃないぞぅ……」
「いやいや、じゃらじゃらした貴金属なんかよりキミらしくていいぜ。ほら、礼を忘れてる」
「……そっか。ありがとうマシュ、リツカちゃん」
 複雑だな、と零しながらも、似合うと言われれば悪い気分にはならなかった。
 何より、少女たちが夢中になって作ったのだろう手作りのそれらは幸せの香りがするような気がして心地いい。
 照れたようなロマニの礼に気をよくした少女たちは、今度はレオナルドの方へと集まっていく。
「ダヴィンチちゃんにも詰んできました」
「おや、ありがとう」
「ね、まだ花がたくさんあるんだけど、ダヴィンチちゃんも作らない?」
 そう言ってマスターの少女が差し出したのは、どこか見覚えのある大ぶりの黒い帽子だ。その気配から誰かサーヴァントの私物を拝借したのだろうと察せられてロマニは思わず無言になった。
 レオナルドの方はさして気にした風もなく、少女が逆さに抱えた帽子の中を覗き込んでいる。
 もうひとつくらい冠が作れそうな量の花を吟味して、うん、とひとつ頷くと、彼は選びぬいたらしいたった一輪を詰まんでそっと抜き取った。
「私にはこの一輪があれば十分さ」
「え、でも」
「こうするんだ」
 レオナルドの指が細やかに動く。まるで研究中の彼の手の動きを見ているかのように、その指は繊細な作業をさも簡単そうに行うのだ。
 数分で彼は細く瑞々しいシロツメクサの茎を編み、小さな輪に仕立て上げた。
「さあ、ロマニ」
「へ」
 ぼけっと見とれていたロマニは名を呼ばれ、目を瞬いてレオナルドを見やる。
 レオナルドはすっと立ち上がるとロマニの椅子の横にまるで円卓の面々が時折『レディ』にそうするように跪いた。
 状況についていけないロマニの手はレオナルドに取られ、手袋はそのままに白いシロツメクサのリングが指に差し込まれる。
 左手の、薬指に。
「花言葉を知っているかい?」
 ロマニの返事を待つでもなく、呟いた言葉をそのまま刻みつけるように、ロマニの手の甲に彼の唇が押し当てられる。
「たくさんの『幸運』を贈られたキミに、たった一つの『約束』をってね?」 
「ダ・ヴィンチちゃん、プロポーズだね!」
「せ、せんぱい……!」
 白い花に飾られて、ロマニの顔が真っ赤に染まる。
 少女たちの声が聞こえないくらいに心臓がうるさい。
 悲鳴もあげられずロマニが自分の部屋に逃げ帰った後、カルデア内のスタッフの間でしばらく花まみれで走るドクターの噂が囁かれたのだった。

<終>

#Romani Archaman#Da Vinci#Fate/GrandOrder#ダヴィロマ#ロマダヴィ

2017-05-07 15:39:17 +0000