◆九十九路の羅針盤【illust/60865485】
ぜんぶを忘れて放り出して目を閉じれば、きっとずっと楽だった。それでも彼は花が咲いた日の晩に、ふたたび旅に出た。
◆ハウ
前期:【illust/61741982】
絆相手:医術国家アーシュダナム エリウ・アインダハラ・ダナンさん【illust/61753096】
「へっへーん、どう?ちゃんと薬草も見分けられるしもう一人前でしょ!いい先生のおかげだよ!……あっ、これ違う薬草だ」
医術国家アーシュダナム ブリギッド・アインダハラ・ダナンさん【illust/62188570】
「いつか、会えるかな。会えたらなんて言おう。……も、もしもだけど、嫌われてたら落ち込んじゃうな……嫌われてないといいな……。ううっ、お腹痛くなってきた」
『はる』を探して長いあいだ旅をしている少年。
天真爛漫な性格な一方、はっきりとものを言ったりすることもある。
自分の体質に気づいてからは前より少しだけ人と距離をおくようになった。またその場所をめちゃくちゃにしてしまうことを少しだけ恐れている。
拙いながらも旅医者として旅を続けている。彼のそばにはしばしば有翼の人がいたと言われている。
◆『冬を呼ぶ小さな獣』
冬の精の一種。雪の中から生まれる。この獣の住む地には、雪が降り積もり、冷たい風が吹き続ける。
その特性上、ひとところに留まる者は少ないと言われている。
見た目は人と変わらないが、成長スピードは非常に遅く、体は少しひんやりしている。
◆絆を結んでいただきました!
夢幻郷 エペさん【illust/62432459】
旅の途中、はたと気づけばそこは白い応接室。誰もいない部屋の中でぽつねんと椅子に腰かけていた。
じっとしているのに飽きたから、なんとはなしに進むと書かれた扉を開け放った。
広がっていたのは夢のような幻のような、不思議な場所だった。
「しばらくしたらきっとこの雪もやむから、ごめんね。あれ、いいの?みんなは迷惑じゃないの?……それなら、よかった。本当に」
「君がここの郷守なんだ!ぼく、ハウだよ。同い年くらいかなあ、よろしくね!はい、握手!……?腕?うわーーーーっ!ちょっ、エペの腕が!ごめ、ほんとにごめん!えっどうしよう!?」
「すごい、すごい……!ほんとに扉を開けたら違う景色が広がってる。夢幻郷って広いんだね!これどこまでも続くの?ねえ、こっちの部屋は?……あ」
「そっか。この花は幻だから、枯れたりしないんだ。枯れたりしないんだ!ね、エペ、友達を呼んできてもいい?見せたい人たちがいるんだ、ちょっと待ってて!絶対だよ!」
めくるめく繋がっていく風景たち。城下町、海辺。可愛らしい花の咲くのどかな風景。
いつものように雪は降っていたけど、夢幻郷の景色は変わったりしなかった。だってそのどれもが幻だったから。
だから幻の花で、冠を作った。
遠い異国の地を思いながら、大切な人たちに幻の花冠をかぶせた。どうか健やかでありますように。
置いてきてしまった小さな友人にも送ることができたらどれだけよかっただろう。これが、幻でなかったら……。
郷守が止めるのも聞かず、彼は最後の部屋までたどりついた。
どこまでも続く赤黒い空。どうしようもない人の業。侵略するために、もしくは守るために使われてきたものたちの骸。
目の前の友達が自分には命などないように振る舞うのが、とても悲しかった。
「剣を握ったこともないし、戦ったこともない。ぼくにはエペの気持ちをわかってあげられない。
でも、本当にエペは今のままでいいの?本当に、このさびしい場所にいなきゃダメなの?エペは郷のみんなのことを考えて、新しい持ち主を見つけてあげてるのに自分はいいの?
どうして?そんなの、おかしいよ!だって、エペはこんなに、優しい人なのに」
「ぼくははるを探す旅を続けるよ。冬の精に生まれたけど、はるを見つけてみせるよ!またきっと、誰かに迷惑もかけちゃうだろうけど、どこかにぼくにでもはるがあるって信じてる。
エペは、なにかしたいことはないの?自分のやりたいことをやってもいいじゃないか!誰も文句なんか言わないよ。
…………もう!そこでそうやっていじけてればいいんだ、分からず屋!」
「え?一緒に?そりゃ嬉しいよ!責任なんていくらでもとるよ。それに、やっとぼくの名前呼んでくれたね!えへへ。うん、これから改めてよろしく、エペ!」
「なんだよ、急に元気になっちゃってさ!……ふふ、よかった。ううん、なんでもないよ。今行くから!」
「うー……、そりゃあぼくはエペに比べれば腕もたたないしどんくさいけど、もうちょっと頼りにしてくれてもいいんだよ!男だしがんばれば実は力持ちかもしれないじゃん。ちょっと、何笑ってるんだよー!」
「いい加減冗談でもそういうこと言うのやめてよね!心臓に悪いよ、もう。ねえ、ぼくに何かできることある?ほんとに痛くない?」
「あっ、ほら見て!雲が晴れたよ、エペ」
出会いの数と同じだけ、別れのときはやってくる。
いつだって小さな冬の獣は見送る側だった。
いつか「はる」を見つけたときには、腕いっぱいにそれを抱えてみんなの故郷を訪れよう。そこに君はいないけど。
彼を知る人がいなくなったとしても、それでも彼は旅を続けるだろう。
「さよなら、エペ。ぼくがずっと君を覚えてるよ。
バカだなあ。こんな不思議で優しい君のこと、忘れられるはずがないじゃないか」
◇今後もキャラクターを成長させていく形で投稿していく予定です。
自分のことを知っていく手がかりになるような絆が結べたら嬉しいです。
訪れた場所の季節が冬になってしまう体質ですが、それでもよければどうぞよろしくお願いします!
◇メッセージのお返事には5日程度時間をいただく場合があります。
2017-04-13 15:55:22 +0000