【九十九路】玄灯のイルミナード【第三期】

ぴこ
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企画:九十九路の羅針盤【60865485】

◆組織:玄灯のイルミナード
幾つかの荷馬車で構成された旅するキャラバン。
扱う商品はランプやランタンのみで、主に夕方から夜にかけて気ままに店を開く。
現在の【玄灯】には【白】が居らず、代わりに前店主の息子が店主代理としてキャラバンをまとめている。
店主代理が鉱石を扱うことに長けているためか、最近のイルミナードの灯りに鉱石の形をしたものや色々な鉱石を飾りに使用しているものが増えてきた。キャラバンの規模はあまり変わってはいない。

◆店主代理:アレク
50pt (強靭:0 知能:15 器用:25 機敏:0 幸運:10)
24歳/180cm/一人称:俺
【玄灯】の店主代理。
前店主とその伴侶との間に生まれた息子で、白い髪だが光る血を持たない【灰】。
なにに対しても無気力で面倒な事が嫌い。
商売にもあまりやる気はないが店主代理としての自覚はあるので最低限はやろうと思っている。
鉱石を加工したりランプやランタンの細工をつくっている時だけは真剣な顔をみせる。

◆絆
   前期:ロア【illust/61827467
前期絆相手:レキ・ディーナロアさん【illust/61688966
「父さんにあまり手紙なんて書いたことがないから、ちょっと戸惑ってる。元気にしてる?こっちはまあそれなりにやってるよ。代理の仕事もまあまあやれてるし、特に問題はない。もう少ししたら一回戻ろうかなって思ってるから…俺の分も母さんによろしく言っておいて」
   今期:ライア・ユルハイネ・ディーナロアくん【illust/62335479
「うん…。お前が居るから助かってるよ、ライア。いつもありがとうな」
「お前が心配するのもわかる。でもな…仕組みを変えるのは凄く大変なんだ。ランプを組み立てるように一つ一つやっていかないと。…お前はいいんだよ、俺の代わりに笑っててくれればさ」


◆素敵なご縁を頂きました
"呼竜の手簡"エデ=ローメットバイト ミラ=エデ・ローメットバイトさまillust/62301355

[路の話 イルミナード:玄灯 在玖]

なにに対しても不真面目に、無気力でさえいれば、赦されるのではないかと思っていた。
店主代理を引き受けたのだって、別に正義感からとかじゃない。自分がやらなかったら弟に役目がいってしまうから…母との最後の約束は守らなければならなかった。ただそれだけ。

いつものように店を開き、いつものようにたまに訪れる客を相手にしていた日。
その日の客がもたらしたものは消えぬ灯火だった。自分はこの地に根をおろすから、とランプの代わりに譲られたその炎に、なぜだかとても懐かしさを感じた。「エデ」というその国の話を客から聞いていると、その様子をみた弟から「アル兄が興味を示すなんて珍しい」と笑われた。解せない。

客や滞在している街で旅人や商人から聞く話はとても面白いものだった。願えば「エデ」までの路を指し示すという灯火。
イルミナードの灯りは行く先を照らすものだけれど、これは帰るための灯りだ。

いつからか、漠然とある想い。かえりたいと求める声。
【白】に顕著に現れるそれが【灰】の自分に現れた時は驚いたが、同時に納得もした。この身に光がなくても、この手は光に塗れている。
行先をその国に変更したのはただの興味ではあったけれど、帰るための旅路はいつもの旅路とは違って見えた。かえりたいと願う地は遠くとも、静かに燃える炎と共に辿る路は確かになにかに満たされたものだったから。

「御目通り頂きありがとうございます"エデ"、我らはしがない灯り売りではありますが、交易と…そうですね、情報についてならばお役に立てると存じます」

辿り着いたその地で出会った王はまだ幼い少女で、こんな幼い少女が国を支えているのかと感心したのを覚えている。

「…私は手紙を書くのが余り得意ではないので、報告書みたいになってしまったらすみません…ああ、構いませんよ。では情報は"エデ"に手紙で送ります。」

「じゃあ俺も仕事は終わり。うちの灯りが本領発揮するのは暗くなってからだから、それまでは都の案内をお願いしてもいいかな?…っと、そうだ、忘れてた。俺はアレク・ユルハイネ。よろしく」

まさかこんなかわいい文通相手が出来るとは思わなかった。いや仕事でもあるのだけれど。
屈んで目線を合わせれば、先程までの毅然とした王の顔からすっかり年相応の少女の顔が窺える。澄んだ水のような瞳を煌めかせている姿が何故だか弟と重なって、気がつけば頭を撫でていた。

*****

近頃変化したことがある。
綺麗なもの、珍しいものをつい探してしまうこと。
竜についての話を積極的に集めていること。

なにより変わったのは、まめに手紙を書いている自分だ。
エデの手紙の力を始めて使った時はとても驚いたが、今はもうすっかり慣れたものだ。それよりも、どうやったら彼女を喜ばせられるかを考えてしまっている。

「店主代理と"エデ"」ではなく、「アレクとミラ」として会うのが増えてきているのは、自分でも気付いていた。ゆっくりと、でもそれは確実に自分の中に広がって燃えていく。あれ程身を焼かれたかえりたいと願う声は、紙飛行機に乗って消えてしまった。

*****

帰るのなら手紙を燃やせばいいとわかってはいるけれど、なんとなく勿体無い気がして、ついつい消えぬ灯火を道案内に帰路を急ぐ。
遅くなったことを怒るのか心配してくれるのか…出逢った頃よりも幾分と大人びた少女を想う。手紙で会っているのに、こうして会うのはまた少し違う感情が生まれるのが不思議だ。
帰ったらなにを話そうか?彼女が好きそうな話は今回も沢山仕入れてきた。……ああでも、先ずはこの言葉。

「ただいま、ミラ」

(もう少し編集中です)

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2017-04-09 12:59:19 +0000