「───……長生きのし過ぎはどうも独り身にはよくないらしい。琴を聴かせる友もいなくなってしまった。それでこうしてひとり、浜辺の砂、海の風、そして『そこに生えている』まだ若い松にでも聴かせてやろうと思っていたのだがね……」
突如として浜辺に現れた娘。かつて天女が羽衣をかけたと伝わる松の枝に宿ったその娘は、私の言葉にたいそう喜んで、こう言ったのである。
『ええ、そうよ。これからは私が、あなたの友だちになってあげる』
<『誰も知らない百人一首 34番異説』より抜粋(民明書房刊)>
誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに(百人一首34番 藤原興風)
https://akinona.themedia.jp/posts/2049804
■百人一首アンソロジー「さくやこのはな」参加作品です。
http://sakuyakonohana.nomaki.jp
「松」→「高砂」→「天女」みたいな流れで描きました。扇の部分はフルアナログ!たのしかった!
2017-03-05 00:29:39 +0000