【九十九路の羅針盤】(illust/60865485)の第二期に参加させていただきます。
「現国王のフルム様は変わっておられる。
魔力の強さ故に自分や周囲を浮かせてしまうのは以前からだが、
最近ではそれを利用して、国の外を見に行くのがお好きなようだ。
――外の世界。果たしてそれはどんなものなのだろうか。
我々はただ、静かに眠りにつければそれで幸福なのだが…」
――――とある民の言葉
■夢と隣り合う国 スノヴィジェーニエ
ポイント:25pt(強靭:0 知能:8 器用:5 機敏:2 幸運:10)
広い雪原の奥にある国。
色々な偶然や奇跡により常に春のような穏やかな気候を保っており、夜が比較的長く、静かな時間が流れる国である。この国の住人は「夢」に関する特殊な魔力を持っている。
※国の詳細は第一期のキャプションもご参照ください
■国王 フルム=エストレラ
性別:女性 年齢:52歳(外見年齢は24歳くらい) 身長:160cm
――彼女は夢を見た。
スノヴィジェーニエの外に広がる、様々な国。多くの道。
それらのなんと美しいことか!――
目を覚ました彼女は、補佐役にこう言った。
「おはようございます。私、今日は国の外に行きますね。帰ってから公務は済ませます」
スノヴィジェーニエの国王をつとめる、物静かで穏やかな性格の女性。落ち着いた物腰やしゃべり方から大人びて見えるが、意外と無邪気で純粋無垢なところがあり、子供っぽいマイペースさを見せることもある。
普段はぼんやりしていることが多いが、その一方で国の現状を案じ、王としての責務を果たそうとしている。
魔力が強すぎるせいか、たまに自分を含む周りの物をまるで夢の中にいるかのようにふわふわと浮かせてしまうことがある。最近ではそれを利用して自分自身を浮かせ、国の外に行っている模様。
■素敵な絆を結んでいただきました!
嚠喨の楽都 ベルデ・スオーノ/フォレディオさん(illust/61858228)
ふわふわと空に浮かびながら、彼女は思う。
あのとき夢に見た輝かしい道は、果たして我が国にも繋がっていただろうか?
その答えはまるで泡雪のように曖昧模糊として分からない。
けれど、こうも思う。
あんなにも美しい道のどれか一つでも我が国に繋がっていたのならば、それほど素晴らしいことはないだろう。
夢は自分の隣にある。きっと少しだけ手を伸ばせば現実になるから――
その時ふと、美しい音色が眼下の国から聞こえてきた。
川のせせらぎでも、風が木々を揺らす音でもない。
フルムが知るような、子を安心させるための子守唄でも、伝承を紡ぐための童謡でもなかった。
「(…これは、何?)」
今まで感じたことのないような胸の高鳴り、高揚感――。
気が付くと、まるで吸い寄せられるようにその国へと降り立っていた。
来訪者として謁見の間へ通された彼女の目の前にいるのは、まるで草原のように柔らかで爽やかな色彩をまとった男性。
まずは自己紹介。それから相手のことを聞くように。補佐役には渋々ながらもそう言われていた。
あぁ、けれど突然の来訪だったからか、空から降り立ったときにこの国の方を驚かせてしまったようで、まずそのことを謝るべきかしら――
そう考えていると、目の前の男性が声をあげた。
「浮いている!!見たまえ!人が浮いているぞ!!」
ころころと変わる表情や仕草、鮮やかに響く声。そのすべてが音を奏でているようで、思わず笑みがこぼれる。
「まるで貴方自身が、この国に流れる音の全てみたい」
それが嚠喨の楽都ベルデ・スオーノと、その国王フォレディオとの出会いだった。
***
ベルデ・スオーノと同盟を結んでから、スノヴィジェーニエは少しずつ変わっていった。
子守唄を始めとした色々な歌を知り、楽器を慣れないながらも奏で、楽しむようになった。
相変わらず夜が長く、静かな国ではあったが、気分の良い日は好きな歌を口ずさみ、眠れない夜は木々のざわめきに合わせて口笛をふいた。
音を楽しむというのは耳を持つ生き物の原初の喜びであると、スノヴィジェーニエは知ったのだった。
***
フルムは国としての交流も兼ねて、たびたびベルデ・スオーノへと足を運んでいる。
この国が奏でる音と、そして何より国王フォレディオに興味があったからだ。
「夢の中でなら簡単にいつだって会えるけれど、それだと少し寂しくて。
夢は現と隣り合わせだけれど、不思議ですね、私は現実に貴方と会いたいのです」
この国を歩いていると、国民が彼を愛していることがよく分かる。
そのことを何故かとても愛しく思った。
そんなある日、フォレディオの指揮する楽団も参加するという大音楽祭に行った。
国王が導く音楽は煌びやかで美しく、聴く者を圧倒させ、そして何より音を楽しんでいる彼の存在がその場を彩っていた。
――音楽が終わった後もフルムの心には初夏の風のような清々しさと、色鮮やかな花が芽吹いたような晴れやかさが残っている。
「(まるであの人が心の中にいるみたい)」
そう思った瞬間心がざわめいて、どうにも落ち着かなくなったフルムは、その日は彼に会わず自国へと帰った。
翌朝、朝食を終えた彼女は静かに公務をしながら、昨日のことを考えていた。
きらきらと輝く彼の姿を瞼の裏に思い起こす。
そして「あ」と声を漏らして、ぽつりとこう呟いた。
「私きっと、あの人のことが好きなんだわ」
――補佐役は後にこう語る。
「彼女の魔力が強くて良かった。もしそうでなかったらあのとき私の持っていた瓶の中のインクは、床に広がっていたでしょうから」
***
久しぶりに彼が我が国で演奏を披露してくださることになった。
国民も喜んでいるけれど、私はそれ以上に喜んでいる自信があるわ。
けれどこんなときに何故か予知夢は役に立たない。だって私の望む夢ばかり見せるから。
私ね、貴方に言いたいことがあるの。
あの日の大音楽祭、とても素敵だった。けれど何も言わず帰ってしまってごめんなさい。
そして――――誰よりも何よりも、貴方が好きってこと!
■その他既知関係について
昔に迷い込んだことのある旅人等、どんな関係でもお気軽にご連絡いただければとおもいます。
また、所属・移住についても特に制限ありません。
メッセージは即日~3日ほどでいたします。
何か不備等ありましたらご連絡ください。
キャプションは随時変更・追加します。
2017-03-04 13:21:30 +0000