【HD篤理地01】小さな港のインターアーバン【400形】

古淵工機10@RSPI作者?

トリエステ地方鉄道100形→トリエステ県交通局→トリエステ交通400形:
1935年に101~105号の5両、1942年に106・107号の2両が製造されたボギー電車。
全長13370mm、軌間1000mm、自重17.0tの小形電車であり、モーター出力は25kWと小型ながら、
勾配の多い路線での運用のため4個モーターとなっている。
製造はスタンガ重工(Officine Meccaniche della Stanga)、電装品はブラウンボベリが担当した。
台車はブリル77E1。

フォールディングステップを備えたインターアーバンカーのスタイルであるが、
実はドアがあるのは片側の側面だけで、反対側の側面は窓がついているだけのシンプルな外観である。
おそらくはアメリカのピーターウィットカーを参考にしたのだろうが、双方向に運行するため両運転台となっているのが特徴だ。

もともと、トリエステとオピチナを結ぶオピチナ・トラム(Tram di Opicina)は「トリエステ地方鉄道( Società Anonima delle Piccole Ferrovie di Trieste=SPF)」という私鉄であった。
100形は、1935年に改番が実施されて400形401~407号となっている。
1961年に公営化されトリエステ県営鉄道(Servizio Comunale Trenovia=SCT)となった際に全車が引き継がれた。

その後1970年には電力・水道・ガスなどの公共事業を行う「トリエステ県企業庁(Azienda Comunale dei servizi Elettricità, Gas, Acqua e Tranvie=ACEGAT)」の路線となるが、
1977年にはこの企業庁も再編され、「トリエステ県交通局(Azienda Consorziale Trasporti=ACT)」の運営が長らく続いた。

この時点でもまだ全車健在だったが、403号はその後事故により大破し、修理不能となったため1980年代には廃車となった。
これで残ったのは6両となっている。

2000年にはトリエステ地域交通公社(Agenzia per la Mobilità Territoriale=AMT)と、
イギリスの大手バス会社・アリーヴァ(ARRIVA。2010年にドイツ鉄道グループに加盟)、
およびフランスのパリ交通営団(Régie autonome des transports parisiens=RATP)が出資する
「トリエステ交通(Trieste Trasporti=TT)」が運営主体となり、400形も同社の保有となった。

2004年には405号を皮切りに、一部の車両に対してチョッパ制御化を実施しているが駆動方式は釣り掛け式のままである。
ただし搭載機器の関係からか407号はチョッパ制御化されず、抵抗制御のままとなっている。

さて、このオピチナ・トラムはトリエステ市中心部にあるオベルダン広場(Piazza Oberdan)と郊外にあるオピチナ団地(Villa Opicina)を結ぶのだが、
どうしても自力だけでは突破できない急勾配を抱えているため、スコルコラ広場(Piazza Scorcola)~
スコルコラ峠(Vetta Scorcola)間はインクラインとなっている。
電車はこのインクラインの線路上に直接乗り入れ、ケーブルカーに押されて峠を上り下りするので
あるが、連結しているのではなく、ただ単にケーブルカーにもたれかかっているだけという面白い方法が採られている。

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2017-02-17 14:48:24 +0000