【九十九路】白華霊庭 フラストヤード【第一期】

詠蒔。
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此方の企画様【illust/60865485 】に参加させて頂きます。

≡≡≡≡
ーー遠く遠くの大きな国と国との間の辺境の森奥深く、きらきら輝く花園に子に守られ我等は眠る…

▼白華霊庭 フラストヤード▼

辺境の森奥深く…
不気味な程、辺り一面を白い花で埋め尽くされた花園。
それは子を残して花になった一族が集まって出来た霊庭。
満月には、生前の姿で具現化し森をさ迷い歩くと言う…
国・種族等の詳細は此方【 novel/7882792

▼代表▼
花番・ラウ レール
<中性/(推定)150歳から数えてない/(額の枝含まず)175㎝>
羅針盤 月光
ポイント10pt《強靭:2 知能:3 器用:0 機敏:0 幸運:5》

少々ぼんやりとした白霊花の花番。
森の外には小さい時に1度だけ出たことがあるがそれきりずっと故郷の森で生活している。
現在は花番の為、森から離れられないので故郷に帰ってきた友の話を聞くのが楽しみ。
最近の悩みは身体に頭に生えてきた枝に小鳥が停まること。

「おかえり、久しいね…。此方は変わりないよ……良かったら外の話をしてくれないか?」
「草花だって生きてる…いきなり腕や頭を引きちぎられたら痛いだろう?……君は違うのかい?」
「この森の、外は、…あの世界は、私には眩しい……。もう一度…見てみたい…けどなぁ…。今は……」
「…………そう、いつか……またいつか……あの世界に…」


◆◇素敵な絆、結んで頂きました!◇◆
リオヴァウルさん【illust/61339136

その日は森の入り口が騒がしかった。
最近、霊庭を荒らす者が入り浸ってしまって困っていたところだ。きっとまただと思い見に行くと、太陽みたいに輝く髪が風に靡いていた…
「………(……綺麗)」
凛としたその姿に私は一瞬で目を奪われる。出逢った事のない神秘的な雰囲気を纏ったその人からは、邪念を一切感じなかった。この人は侵入者じゃない…。突然、倒れた事にハッとする。そっと近寄るとその人は怪我していた。近くの木々達が次々と今まであった経緯を話してくれ、大体の事情を把握できた。

「…恩人、恩人…目が覚めた?」
「貴方は恩人…木々達から聴いた…アレを払ってくれたのだろう?…ありがとう、感謝、する…」
「何か、食べる?……あ、…人は何を食べるのだろうか…」
他種族と話す機会があまりないので、もっと友人から聞いておくべきだったと少し後悔した。

「………怪我は、もう大丈夫?(ぐぃ)…ん、来て…。貴方は恩人だから特別…、皆…一族の皆に逢わせてあげる…」
「私の守ってるもの……霊庭、びっくり、するかも知れない…けど、大丈夫。……怖くないよ?」

恩人の彼は、リオヴァウルといった。
ここから離れた“ハルファスト”の守護者をしているそうだ。立場上、私と似たようなものらしく共感できる部分もあって、いつしか交流をするようになっていた。(もっとも私は動けないから彼が会いに来てくれるのだけれど…)
「恩人…貴方も守るものがあるんだね…。…………(じっ)、…体、私も貴方みたいにたくましくなりたい…、筋肉?つけたら…もっと侵入者、追い払うの…楽になる、かな?……むぅ」
「あっ…、リオヴァウル。また来てくれた…、お話聴かせて…今日はどんな話?」
「リオ!いらっしゃい、待ってたよ…。……ふふっ、嬉しい…此方来て…お話ししよ」

貴方の話は、霊花や友が話してくれたどんな話よりも、とても惹かれたものだった。
いや、話でなく貴方とだから…だろうか?
なんだが心がぽかぽかする…これは何だろう?

「今日は…来てくれないのか、な…?(逢えない時間が苦しい…、時が長く感じる…。怪我してない、かな?あの人もお役目があるのは分かってるけど、…早く逢いたいな)」

気が付いたら恋しくて何だか寂しくて心配で…。私の落ち着く場所は霊庭のはずなのに、逢えない時間は落ち着かなかった。
けれど、これがどういう事なのかはよく分からなかった。
最近、上の空ね。誰かにそう言われた気がする。
(クスクス笑う霊花達は答を知っているようだった)

リオの見ている世界が見たい。もっとリオの近くに居たい…
貴方に逢う度、話す度、想いは強くなる…
優しい貴方はいつまでも待っていてくれそうだけれど、私の時間と貴方の時間はきっと大きく違うと思う…
だから…
「……皆、聴いて。私は…次の満月で花番を降りる…」
反対されるかと思ったが皆、快く承諾くれた。長年勤めたんだお疲れ様、と仲間は言ってくれた。想い人が出来たのだろうと、親族達は笑って送り出してくれた。早く行け、と親友は私の代わりを申し出て背中を押してくれた。
ありがとうと笑って私は駆ける、あの人の元へ。足枷の鎖がシャンシャンと音を立てる。ああ、私の心みたいだ。あ、そうかこの気持ちは…

「リオヴァウル!」

遠くに貴方の姿を見つけ名を叫ぶ。
何から話そう。何から教えよう。何から伝えよう。
言いたい事、したい事、行きたい場所、たくさんあるんだ。
あの霊庭にはない輝く世界。貴方の故郷、友が話した土地。想うだけで胸が苦しい。
この手を伸ばせば抱き締めて貰えるだろうか?
嗚呼、それよりも、もっと大事な事を
一番最初に伝えなくては…

『…ーーーーーー 。』

私に出来ることはあまりないかも知れないけれど
ずっと、貴方の傍に居たいから…。

私が朽ちるその日まで…どうか…

≡≡≡≡

大切な物が出来た。家族だ。
愛しい貴方、愛しい我が子、大切な大切な家族。

でも、私の枷は外れてしまった…
遅かれ早かれ私は霊花になる…
あと何回この足で貴方の元に行けるだろう…
あと何回この腕で貴方を抱き締められるだろう…
あと何回この唇で気持ちを伝えられるだろう…
霊花になったら、何も出来ない。
もし、貴方が離れてしまったら?
もし、貴方が怪我をしてしまったら?
追いかける事も寄り添う事も出来ない私は…
そう思うと怖かった。

「……霊庭に、植えないで…、リオの傍に、一番近くに、居たい、よ…」
「…お願い、…私の事、忘れないで……」

情けなく震える声で伝える、私の弱い部分。
ごめんね…覚悟していたつもりなのに…
最期の我儘は貴方を困らせるかも知れない。

でも貴方は約束してくれた。その言葉が何よりの支えだ。
大丈夫、もう怖くない…。
いつまでも貴方の傍で私は咲き続けよう…。

≡≡

△備考△
所属…同じ森に棲む者でも、同種族でも歓迎です。同種族の場合は種族詳細をご覧ください。
よろしくお願いします。

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2017-02-08 14:13:20 +0000