クーブがダンジョンにログインしました。
continue【illust/61016527】に辻エンカさせていただきます!
クーブは去りましたが、押しつけたきのみ(何の変哲のないオボンのみ)をどうするかはお任せします。
不都合等ございましたら、パラレル・スルー扱い、またはメッセージからご一報をお願いします!
お借りしました
ドミノさん(最終章の姿)【illust/60792373】
クーブ【illust/57707910】
____________________________________
今日も今日とて、綿毛は腹を満たすために稼ぎに出る。
ぐにゃりぐにゃりと暗く歪んだ穴に飛び込んで、ふらりふらりと稼ぎになりそうな事がないかと彷徨う。
しばらく進んでいると、蒼と白のウィッチハットを被っているような姿、の男を見つける。
何処かで見たような、マスターが新入りの事を話してたのを聞いたことがあるような、そんな朧気な記憶しかない。
確か『ガスマスクをよく着けている』とも聞いた気がするが、外したい日もあるだろう。些細な事だから置いておこう。
折角見かけたのだから挨拶がてら、と綿毛はふわりふわりと浮かんだまま男の視界に映るように接近して声を掛ける。
「やぁ。君が新入りかな?」
「誰や、お前は」
男は怪訝そうに返事をする。
拠点でもない、安全が保障されていないダンジョンで話しかけられたのなら当然悪い方に反応する。
「僕はクーブ。」
男が警戒して武器を構えようとしていた。
自分に敵意が向けられている気がしたので、さり気無く距離を取ると綿毛は続けて話す。
「ベル=ダルデに所属してるけど、僕はあまり拠点に居ないからねぇ。だから初めまして、かな?」
浮かんだまま、男に向かってペコリとお辞儀をする。
顔を上げてから男に近づくと、火薬の混じった煙たい臭いと鉄さびに似た臭いが男から微かに漂っていることに綿毛は気づく。そして、綿毛は男が先ほどまでしていた行為を何となくだが察した。
僕自身は荒事を好まないだけで、ギルドの誰かが不穏な事をしていても、こちらに火の粉が掛からない限りは止めもしないし加担する気もない。
さりとて、同じギルドに所属しているのも何かの縁なのにこのまま放っておくのも嫌だった。
身に着けているヒップバッグの片方をゴソゴソと探ると、貯蔵してた空間からやや太めながらくびれが一つある黄色いきのみを取り出す。
「自分がやりたいように頑張るのは良いことだけど……無理はしないでね?」
男に近づくと、取り出したきのみを受け取らせるように押しつける。
「無茶して苦しかったら、美味しいものも美味しく食べれなくなるからさ。」
そう言って、綿毛は男の反応を確認しないまま背を向けて去っていった。
「僕だって何かが違えば、容赦なく似たような事をしていたはずさ。」
誰の姿が見えなくなった空間で綿毛はポツリと呟いた。
2017-01-22 07:09:50 +0000