*さて、本日の短時間挑戦は飛行物体で御座います。
御覧の様に機体の下に向かってかなり大きな板で止められたフロートが特徴的な水上機。
その部分概要に目立っておりますが、それ以外でも特徴の多い機体となっております。
バランス取りに注力したことも御座いますが、線の面では概ね満足行く出来となり、色に関してはモノクロ彩色写真を元にしておりますので飽く迄も想像の色で御座います。
お時間は38分となりましたが、出来としては概ね満足行く物となったので良しと致します。
*本日の飛行機は大日本帝国海軍の水上偵察機、紫雲で御座います。
略符号はE15Kで連合軍のコードネームはNormとなっておりました。
呼称としては川西二式高速度水上偵察機 紫雲と呼ぶのが一般的なのでしょうか。
敵戦闘機の制空権下に於いても強行偵察が可能な機体として39年、海軍は火星発動機一四式を搭載する機体という意味で一四試高速水上偵察機として川西航空機に指示。
此処で最も重要視されたのは水上機で有りながら戦闘機よりも速いという物でした。
其処で川西は高速性能を得るために兎に角野心的なまでに新技術を盛り込むことで其れを実現しようと致しました。
2重反転式プロペラはこの機体が初めてで、特徴とも成っている大きな主フロートは緊急時にはパージ、要は切り離し可能。
こちらの資料ではもう収納されておりますが、両翼単に取り付けられた補助フロートはこのイラストの様に内側に引き込んで空気抵抗を減らせる様になっておりました。
そのフロートですが、引き込んで収納するために上半分がキャンバス生地製の、要は布製風船の様になっており、飛行中は空気を抜く事が出来たようです。
層流翼の主翼を使用するなどと言った速さと空気抵抗軽減を追求した水上機となっております。
機体は全金属製と結構贅沢で、油圧式二重フラップ装備。
翼は格納を考慮して折り畳み可能となっているなど、兎に角最新技術をふんだんに盛り込んだ野心的高級機となっております。
41年末に初飛行した物の、当然初物尽くしの機体であっただけに不具合が続出。
長い改修の末、42年に漸く海軍へ納入。
海軍に置いて審査を行った物の、戦闘機より遅く、更に未だ呼称も多いと問題は山積状態。
それでも大淀に搭載する強行偵察機として採用を内定。
試作1機に増加試作機2機、更に追加試作機を4機発注。
43年夏、制式採用され、名を紫雲11型と名付けられます。
実用試験のため大淀に搭載されトラック島方面へ進出。
44年にはパラオのアラカベサン水上基地へ配備。
一説には僅か三ヶ月程の短期間で全機損失とする物もあるようですが、実際は違ったようです。
水上吉へ進出できた紫雲は元々わずか3機のみで有り、フロート投下が出来ないという不具合は、実際は投下しなかっただけのこと。
対潜哨戒任務に出て敵機に追われた期待は被弾しつつも撃墜されず生還したことがしっかりと記載されております。
やはり全身金属という機体が此処で活きたという事になりますね。
とは申せ、不具合は結局残った儘というのも事実で有り、そういった部分を誇張されて全機損失などと言う根も葉もない噂が出たのでしょうねぇ。
正式採用後は7機量産された時点で生産は中止。
総数は15機に終わった様ですが、量産機の予定も17機と実際の総数に近しい物ですし、目的の生産数には届いていたと言うべきでしょうか。
ちなみに、この生産中止にも諸説有り、やはり有力なのは制式採用されて尚残ってしまった成績不振などの不具合。
そして、もう一つは戦局による方針変換と言う物。
大淀から試運用の長大なカタパルトが撤去されていたことなどから其れが伺えるという物でした。
加えて、突撃機でも無いのに派生品の計画や改良計画などが出ていないことなども其れを裏付ける形と成っております。
この紫雲に関しては全ての技術が完成域に達したとして当時の戦闘機に勝る程度の速さが出たかどうかは流石に疑問視せざるを得ませんが、それでも幾つかの技術を実際に現物化したことに関しては後に続く機体へしっかりとしたデータを残せたのでは無いでしょうか。
2017-01-14 12:38:32 +0000