これはおそ松さん第8話「なごみのおそ松」および 名探偵イヤミ 六色の怪盗団を基にした二次創作です。
色鉛筆と水性ペンで着色の後、PCの方で色の具合等を調節しました。
タイトルにある憂戚(ユウセキ)とは、「うれえかなしむ」という意味です。テーマは、『なごみ探偵、初めての謎解き』。小説を書きたいけどトリックなんて考えられない。という訳で以下メモ書き。
なごみ探偵はパラグライダーで移動中カラスの襲撃に遭い、とある洋館の庭に墜落。とりあえず洋館で世話になることに。
「すみません奥さん。何から何まで」
「いいんですのよ。こちらこそ、こんなに和ませてもらっちゃって」
「和ませるのがオレの仕事ですから」
「誰か、探偵さんに一番高いお茶菓子を持ってきてちょうだい!」
「はい!奥様、只今」
「いいんですか?」
「もちろんよ。和ませていただいたお礼ですから」
なごみ探偵のおかげですっかり和やかな空気に包まれた洋館。そんな洋館で翌日、殺人事件が起こる。被害者は奥さん。第一発見者は昨日なごみ探偵のもとへお茶菓子を持ってきたメイド。
―――
「他に証拠は?こんなんじゃ犯人捕まえられないよ。てか、捕まえる気あんの?」
「ちょっと、そんな言い方ないでしょ?僕たちも必死にやってるよ!」
「じゃあ、さっさと見つけて。結果が全てだから」
「(# ゚∀ ゚)ムカッ」
「おい、十四松。その辺にしておけ」
「でも、ケンさん!」
「トド松警部補も、焦る気持ちは分かりますが彼も我々もきちんと仕事をしていますのでご容赦を」
「若いなあ、トド松警部補」
「警部!」
ピリピリとした現場では証拠の少なさからか、チョロ松警部のデカの勘が迷宮入りの可能性を告げる。そこへこの洋館を所有する松崎家の長男・カラ松がやってきた。「母さん!」彼がそう声を上げたとき警部は、彼が取り乱すと思い構えた。だが、カラ松は次の言葉を呑み込んで平生を装った――様に警部には見えた。(何か引っかかるな)
「顔色が悪いね」
「ああ、これ。昨日はワインを飲みすぎてしまってね。明日薔薇が散ると知っていたら、飲みすぎたりしませんでしたよ。そういえば、私が夢現を彷徨っている間、うちの可憐な白き花たちが傍でその香りを振り撒いてくれていたようだ」
「いや、途中から何言ってるか分かんないから!!」
「……なるほど。それが本当なら、あなたに犯行は不可能ということか」
「え!?警部、なんで分かんの!?」
更にそこへ、遅れてなごみ探偵がやってくる。
「チョロさん♪」
「む?…やあ!おそ松くんじゃないか。一体いつからここに……」
「実は、かくかくしかじかでして」
「警部、誰ですかこのコスプレイヤーは」
「かくかくしかじか…なごみ探偵のおそ松くんだ!」
「それってただのポンコツじゃん!ねえ、探偵の意味知ってる!?」
そうしてなごみ探偵は、殺人現場に似つかわしくない、不謹慎かつ軽率な行動と混じり気のない笑顔で、次々と現場の者たちを和ませていった。早く犯人を捕まえたいトド松は不満だ。
また現場に誰かやって来た。
「シェー!チミたち、ミーが無能な警察諸君の為にわざわざ、おフランスで鍛えた頭脳を貸しに来てやったザンスよ」
「って、誰!?」
「チミたち、このミーの名前を知らないざんすか?ミーこそは、おフランス仕込みの名探偵、その名も――イヤミざんす!!」
―
急に洋館全体が停電。何処からともなく声が聞こえてくる。
「諸君、ようこそ憂戚の館へ。諸君には僕の暇つぶしに付き合ってもらう。次々と殺人を犯す犯人を捕まえる簡単なゲームだよ。なごみ探偵さん、今回は他人を和ませている場合じゃないよ。君にも謎解きをしてもらわなくちゃ。でなきゃ、警部を次のターゲットに替えちゃうからね♪」
現場は謎の男の登場によって、あっという間に重たい空気になった。本来和ませることが仕事のなごみ探偵は、一瞬頭が真っ白になった。気が付くと電気が点き、男の声は聞こえなくなっていた。
次々起こる殺人事件。
「なごみ探偵、どっちが先に犯人を捕まえられるかミーと勝負ざんす!!」
かくして二人の探偵の推理対決が始まった!だが、対決といえどイヤミは推理経験の無いなごみ探偵に助言する。――ようやく犯人にたどり着いたなごみ探偵。犯人は、謎の男に金で雇われた聖澤庄之助。小柄な男だった。
「アイスホッケーのマスクを付けた怪しい男は、まだ洋館内にいるみたいざんすね」
「あれ、カラ松は?……まさか!」駆け出すなごみ探偵。(嫌な予感がする)
――
「久しぶりだな一松。正直俺はお前がいなくなって清々してたんだ」「っ…!」ため込んだ憎悪を吐き出す様に一松はカラ松を殺そうとする。「やめるんだ一松!カラ松の言葉が嘘だと分からないのか!?」なごみ探偵が間一髪のところで止めに入る。我に返った一松は抱えていた悲しみと寂しさを告白する様に、声をあげて泣いた。
「さあ、出番ざんす。重い空気ざんしょ?だから、なごみ探偵であるチミが、皆を和ませるざんすよ!」
おそ松…なごみ探偵。和ませるのが本職だが、今回は黒幕によって謎解きせざるを得ない状況に。現場で明るい笑顔を見せる不謹慎野郎だが、皆ついつい和んでしまう。
チョロ松警部…ベテラン。「刑事」と呼ばれるのは、なんか恥ずかしいらしい。なごみ探偵とは旧知の仲。おそ松くんと呼び、彼の和ませ力を信頼している。普段は落ち着いて構えているが、特に部下に手を出された時は怒りをあらわにする一面も。新米刑事のトド松を優しく見守る。
トド松警部補…新米刑事。場数が少ない為か、なごみ探偵とは初対面。殺人を「この世でもっとも憎むべき犯罪」とし、事件解決には手段を択ばない。それもあってか短気な面があり、証拠が出ないイライラを鑑識にぶつけたり、すぐツッコミを入れたりする。なごみ探偵に出会って彼の中で何かが変わり始める。
十四松…若い鑑識。まじめだが、リアクションがちょいちょいアホっぽい。もしかしたら、まじめな感じは仕事モードだからなのかも知れない。
ケンさん…十四松が尊敬するベテラン鑑識。口数は少ないが、十四松にアドバイスをくれる。十四松を気にかけている。
イヤミ…自称(?)名探偵。おフランス帰りらしい。嫌味をよく言う。なごみ探偵のライバル的ポジションにいるが、助言をするなどなごみ探偵を真実へと導いているかの様でもある。
カラ松…館を所有する松崎家の長男。中二病。事件発覚前夜はワインの飲み過ぎで爆睡していた。親に一人っ子ということにされているが、一松という双子の弟がいる。一松は母親に追い出され辛い目にあっているのに、自分だけ恵まれた生活をしていることに罪悪感を抱いている。だから今まで自らが泣くことを禁じていた。一松になら殺されてもいいと思っている。
一松…怪しい格好で凶器を持って館内をうろついていた青年。実はカラ松の双子の弟。気だるげな表情からは感情は読み取りにくい。人に本心を伝えるのが苦手であまり感情を表に出さない。そんな彼を母親は気味悪がってカラ松ばかりを可愛がるようになり、仕舞いには彼を捨ててしまう。母親や家族に復讐すべく館に入り込むも母親は既に殺されており、やり場のない怒りをその遺体にぶつけ、血が付いた。その後も復讐相手を殺され続け精神が壊れかけてしまう。
2016-12-26 02:43:16 +0000