「アルフィリアの民、ですか……」
「アルフィリアの民、ねぇ……」
師弟そろっての思案顔を浮かべるのは真っ白い毛並みの医療班コンビ。
「懐かしいですねぇ。最初の私が生きていた頃のことを思い出します」
「僕もそれくらいかなぁ。呪い、解けるようになったって聞いたけど」
「完全に解呪はできなかったみたいですねぇ。脳漿くんもどうしようもなかったらしいですし」
「脳漿さんなら、何か知ってたかもね。……あの人が生きていればの話だけど」
「いやぁ、それは花咲の血を引いていなくても死んでおきましょうよ」
「僕への当てつけ?」
「さぁ?どうでしょう」
二人はテンポよく会話を進める。数百年も前のことをあたかも見てきたように。
いや、見てきたからこその会話なのかもしれない。自称とはいえ千年以上生きているらしいガナッシュと、ちょうどそれと同じくらいの年代に滅んだ花咲家のクローン、トルテ。
彼らの「それ」が事実であれば見てきたものなのだろう。
「僕はこっちできのみについて探るよ。『先生』、ゼカンドアにいって脳漿さんの論文、探してきてもらってもいい?残ってるかはわからないけど」
「当然です、『ヤクモくん』今のうちに東華くんたちにも、連絡入れておきますね」
普段の眠たそうな瞳をトルテケーキのように甘ったるい笑顔に変えると、
「では、いってきます。にゃあ」
「久しぶりに聞いたね。その口癖」
ガナッシュの【古空ノ大樹】ログインです。
トルテはゼカンドアの『花咲家研究施設』にて『花咲脳漿の研究記録』の捜索、解析に当たるため、四章の時間軸では交流できません。
2016-11-30 11:41:53 +0000