◆やっほい!イケメンじゃ~!!!三┏( ^o^)┛
以下、喜び勇みすぎて方向性が迷子になった初対面話です。
紅、黄金、それに緑を残した錦の山々。
はらり、はらりと落ちていく紅葉を目の端に入れつつ、秋晴れの高い空を見上げていた。
(今年もだいぶ寒くなってきた……さて、どうしよう)
私の身体は蛇のそれだ。
爬虫類の特徴として、寒さへの耐性の弱さが挙げられる。
既に朝晩の冷え込みに動けない時間が増えてきていた。
(ひと冬くらいなら眠って過ごすのも悪くない、かな……)
眠っていれば、独りでも寂しい事はない。…という打算もあった。
「寂しい」と「寒い」はよく似ている。
独りぼっちは寂しい。
寂しいのは、寒い。
その感覚が、私は好きじゃない。
──ガサッ
突然聞こえた音の方向に咄嗟に振り向く。ぼんやりと考え込んでいる間に、誰かやって来ていたようだ。
「誰か居るの?」
街からそう遠くない場所だとは言っても、探し物でわざわざ森の中に入ってきたのに……紅葉狩りでもしてるのだろうか。
あの街の人達はお祭り好きだから、大いに有り得る。
そんな事を思いながら、音の主を探した。
「あ、こっちか?」
聞き慣れない声。そう気付いた次の瞬間、目に飛び込んできたのはピンと立ち上がった黒い耳。
「……新人さん?」
「いやぁー。気付いたらこんな所にいて、道もわかんないし。人が居て助かりました!」
私の零した独り言は気にも止めず、大股で近付いてくる足音。彼の足元でガサガサと踊る落ち葉たち。
「ここ何処なんですかね?俺スーツと革靴なのに、汚れちゃ困るんですよ…っ!」
距離が詰まり、お互いが開けた場所で対面する。
さっきまでのにこやかな笑顔はどこへやら、引き攣った顔の男性が目の前に居た。
「あ、あんた、その身体…!」
「大丈夫。ナリはこんなだけど襲ったりしないよ。」
明らかに異形の者を目の当たりにした!というリアクションに、なんだか逆に嬉しくなった。
(そうだよね、そっちが“普通”だよね。)
常識に囚われないこの街に永く居ると、色々と失念してしまう。
だからこうして、たまにやって来る新人さんと話すのは好きだった。
この街は誰にも優しくて、そして残酷だから。
「道、迷ってるんでしょ?案内するよ、ついて来て。」
そう言って枯葉の上を這って進む。
なかなか後に続かない足音に振り返る。
「…初対面の、それもバケモノの言う事が信じられないのはわかるけどさ。そこに突っ立ってても仕方なくない?」
見ればさっきの場所から一歩も動いていないスーツの男。
「……。」
(返事もしない、か…用心深いなぁ)
「じゃあ離れてついておいでよ。何にもしないけど……街まで出れば少しは信じられるでしょ。」
軽く呆れつつ、再度進行を開始するも、一向に足音は聞こえない。
「……ねぇ、そこで一晩過ごすつもり?」
こうなったら多少強引でも引っ張って行こう。説明は彼が落ち着いてからでも遅くはない筈だ。
そう心の中で決めてから、今来た道を戻る。
「っひ!」
それを見た途端、彼が小さな悲鳴を挙げて尻餅を着いた。
「?!ちょっと!大丈夫?」
慌てて駆け寄るも、彼はますます怯えた様子で狼狽えている。
「うわぁっ!こっち来るなよ!」
そう喚く彼をよく見れば、さっきのはついて来なかったのではなく……
「……まさか、腰が抜けてるの?」
「俺はホラーが苦手なんだよっ!!」
暮れ山に、彼の悲痛な叫びがコダマした。
この後、歩けなくなったヒヨコ男を背負って私は街まで降った。
その道中、彼のあだ名が「ピヨちゃん」に決まった事だけを、ここに報告しておく。
◆※◆この作品の内容に関しては先方の親御さんに許可取り済みです◆※◆
◆お借りしました(盛大に申し訳ない!!!)
米原くん【illust/59924944】
◆問題ございましたら教えてくださいm(*_ _)m
2016-11-13 13:33:25 +0000