【ハロ灯】こころみちる【物語】


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いつかキミたちのようになりたい




「きみとの思い出を俺にくれないかな?」

そう言って微笑む霧に、シエラは生まれてからいままでに過ごした、ハロウィンの夜の記憶を重ねます。

「キリ、不思議だね。」

見知らぬ街で出会った少女も、金色の森で出会った老人も。

「人間さんとこうしているとね、胸がなんだかいっぱいになるんだ。」

あたたかく大きな手の女性も、目に希望の星を宿した旅人の男も。

「まるでこころにキミたちの灯りがともったみたいに、あたたかくなるよ。」


臆病で優しい、月の光の様な少年も。


「ボクの持ってるものなら、全部あげたいくらいなんだけど…」

シエラは少し考えて、右腕にまいていた腕帯を外しました。

「えっと、ボクのクッションは魔法でできてるので、持って帰っても、たぶん、そのうち消えちゃうと思う。」

「あ…そう、なんだ。」

魔法難しいな…と、唸る霧の手をとって、シエラは言葉を続けます。

「だから、代わりにお守りを。ボクから送らせてください。」

彼女の魔法の指輪が白く輝き、ふたりの顔をふわりとてらします。

「キリがどうか無事でいられますように。そのこころが守られますように。」

光が収まると、霧の手には小さなブローチがひとつ握られていました。
花のような、十字架のようなモチーフのそれは、魔法の名残なのかうっすらとまだ光をまとっています。

「これ、もらっていいのかな…シエラさんの大事なものとかだったりしない?」

「たとえ大事なものでも何でも、キリのためになるならもらって欲しいんだ。それとね」

遠慮がちに手のひらを見つめる霧に、シエラが笑顔で答えます。

「ボクのことはただ『シエラ』って呼んでくれないかな?もうお友達だもの!」




音楽は静寂へとうつろい、墓地公園の墓石は悲鳴と歓声の夢を見ながらまどろむ。
くすくす笑いながらパレードを見送るおどかしカボチャ。
湖の向こう、見知らぬ誰かが手をふる姿。


夜の向こうへかたむく月。森より這出るあでやかな闇。

特別な夜の終わりが近づいています。




『友情と思い出』【illust/59874242】へのお返しを。ありがとうございました!

霧君へ持たせたお守りはもちろんどのように扱っていただいても構いません。
受け取る受け取らないもご自由にどうぞ!
状況によってシエラの得意な魔法『睡眠』と『クッション』が最弱効果で発動します。
眠らせるならひとりだけ短時間、クッションはおひとつのみ(そのうち消えます)。
魔法は人間の世界に戻ると消え去り、単なるブローチになります。

スルーもご自由に!パラレル前提です。
問題がありましたらメッセージにてお知らせください。




◆お借りしました(敬称略)

秋月 霧【illust/59247845


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シエラ【illust/59242012


◆企画元

ハロウィンの夜に灯りを【illust/58666793

#【ハロ灯】#【ハロ灯】物語

2016-11-13 07:26:45 +0000