※ネタバレ注意(公開情報①)
こちら【illust/59857652】でアイスクリームさんに精神分析をしていただいた結果、ファビィが正気に戻りました!
その後こちら【illust/59700491】で発狂していた晴さんに気付き精神分析を行っています。
※パラレルしましたすみません!!【illust/59917837】
ID末尾【7】
お借りした方
アイスクリームさん【illust/59424350】
晴さん【illust/57711402】
正気を取り戻した【illust/57733520】
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「……あ、あれ?」
どれほどの時間が経ったのだろう。部屋に入るなり一面紫色の景色が広がったかと思えば、いつの間にやら白衣のチリーンが心配そうにこちらを見ていた。
「良かった、落ち着いたみたいだな。あんた、おじさんの顔がわかるかい?」
「え、エエ……。アノ、私は一体……?」
「覚えてないのか? 様子がおかしかったから話しかけたんだが……」
記憶が抜けていることに狼狽えるファビィの様子を見てチリーンが答える。経緯はわからないが、どうやらこのポケモンが自分を助けてくれたらしいと知りファビィは慌てて頭を下げた。
「そ、そうだったんですか!? スミマセン、ゴ迷惑ヲおかけしたみたいで……」
「いや、良いんだ。この場所は何だか不気味な感じがするし、何があるかわかったもんじゃないからね。あんたも気をつけるんだよ」
「ハイ……ありがとうございます!!」
そう告げて立ち去るアイスクリームの姿を見送ると、ファビィは大きなため息をついてから頭を抱えてうずくまった。
「ううっ。後先考えずに突っ込んで自分ガ危機ニ陥ッテシマウトハ、警察トシテお恥ずかしい限り……。しかし立チ止マッテイルわけにはいきません! 一刻も早くコノ場所ノ謎を突き止めなければ!!」
力強く意気込みを口にした後改めて辺りを見回すと、どうやらここは先程いた場所より少し狭いながら似たような構造の部屋であることがわかった。ただし四方の壁一面に貼られている塗り潰された写真が異質な雰囲気を放っており、他にも隅に玩具が散らばっていたり奥にうずくまっている者がいたりと、やはりここも普通の部屋ではなさそうだ。
早速うずくまっている二ドリーナに話を聞こうと近づいたファビィだったが、ふとその側にいるニンフィアの存在が気にかかった。
何やらブツブツと意味のわからないことを呟き続けている色違いのニンフィア。その目は虚ろで、とても正気であるようには思えない。
一体何があったのだろうと思いつつ、ファビィはそのニンフィアに声をかけた。
「アノ……すみません」
しかし呼びかけに対する返答は無く、ファビィの顔すら見えていないようだった。もしかして、彼女もまた先程の自分と同じ状況に陥っているのだろうか。
正直あの一瞬の間に何があったのか全く覚えていないのだが、今でも胸の奥で渦巻く得体の知れない恐怖感だけはひしひしと感じている。もしかしたらこのニンフィアもそんな恐怖に囚われているのかもしれない。だとすれば、何としても助けたいとファビィは思った。
「エット……私ガ、わかりますか?」
試しにもう一度声をかけてみるが、やはり期待したような反応は得られない。どうしたものかと考えた後、言葉が駄目なら触れてみれば気付くかもしれないと思い至った。
傷ついたものを労わるようにそっとニンフィアの前足を取り、ファビィは穏やかに声をかける。
「大丈夫、大丈夫デスヨ。何かあっても私ガ側ニいますから」
先程のアイスクリームの笑顔が脳裏に浮かぶ。
彼もこんな風に優しく話しかけてくれたのだろうか。そんなことを考えながら、ファビィもまた前足を握る手に僅かに力を込めながら呼びかけ続けるのだった。
2016-11-12 11:57:38 +0000