【ポケフロ】タイヨウのナミダ

スピカは鈍足bkm

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だいすき。
いつも拠点でウィスが口癖のように繰り返していた言葉だが、
ウィス自身はこれを軽々しく口に出していたわけではないのだろう。
彼女の大切なご主人へ向けるだいすきと、コルドラヴィスの仲間に向けるだいすきとは、
愛の種類こそ違ってもきっとどちらも強い『だいすき』で、比べようがないのだろう。
ウィスは、ご主人を選んだ。
ご主人を選ぶには、コルドラヴィスを手放さなくてはならなかった。
だいすきなのに離れなくてはいけない心苦しさは、この自分、悪党の夜鷹だって、
彼女より少しだけ長く生きただろう人生の中で、多少は理解したつもりでいる。
それだけに、喉を、胸をきゅうっと締め付けられても、言葉が出なくなっても、
それでもしぼりだした『はだかの言葉』が、「大好き」のことだまが、
一緒に自分の胸まで締め付けてしまいそうなものだから。
「まあ、細かい話はまた今度でいいさ。気が済むまで泣け泣け。
 これから行く迷宮は心に効くって聞いてるから、涙は迷宮のせいってことにしときゃいい」
彼女自身が胸に顔をうずめているのにも関わらず、ウィスの顔を自分の羽根で覆って、
悲しいことと一緒に、自分自身の今の表情も、ないない、と隠してしまった。
きっとこれが狡い大人というものなのだろうなあ。
それでも、チョット強がっても、この愛しい小鳥の前では『強い大人』でありたいと思うんだ。

……今そこにいないのに、迷宮の魔力なんかここにあるわけないのに、と
本当に初歩的なミスに気が付いたのは、言葉を口に出してからだった。
きっとこれも、迷宮のせいなんだ。そう思わないと、やりきれないじゃないか。

***

さて現在は、どういうわけかその少女と一緒に迷宮を歩いている。氷のモンスターが時折襲ってくるが、
なにせこおりタイプじゃ相手する二人の相性が悪かったようで、軽々追い払われている。
肌寒い迷宮だが、彼女の『ほのおのからだ』でほんの少し周囲が暖かい気がしている。
自分で言っておいてなんだが、太陽というのもあながち言いすぎじゃない気がしている。
「一緒に行くなら来てもいいぞ。……あ、いや、そうだな」
ふと閃いて、ウィスにはこう提案しかえしておいた。
「ついでだ、俺は道行く人にアピールしたいだけだしな。
 お前の人探しを手伝うから、好きなとこに行くといいさ。俺がそれについてく」
どうせ目的地があるなら、そっちに合わせた方が動きやすいに違いない。
自分の目的――『通り魔』には、ある意味行くアテは無いわけだし。
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illust/59757109】のおかえし!終了一週間前ですが、好きなエンカ先に突っ込んでしまってOKです!
(※一枚絵の都合上描けませんでしたが、文章内でウィスさんの同行はOKしております)

絵は戦闘後、また文章後編での氷触変異体との遭遇という扱いで公式ボスタグを使用しておりますが、
これをカウントするのは難しいということでしたら外します…!

*ウィスちゃん【illust/57708194】 ずるいおとな【illust/57708997

#【ポケフロ】#【エイユウレクイエム】#【暗翼団コルドラヴィス】#【凍てつく心:ナラズ者】#【氷触変異体の討伐:ナラズ者】

2016-11-08 07:25:51 +0000