オオオオオオオ…
無機質な声が響き、凍える空気を震わせた。
突如出現した大量のフリージオ…の姿をかたどったそれは、氷触変異体。
その無機質な身体からあふれる冷気によって、どんどん寒さは増していく。
心まで凍りつきそうな寒さは、果たして氷だけのせいだろうか?
聞けばこのダンジョン、負の感情を増幅させる効果があるらしい。
「氷触体……か」
その寒さに、どこか懐かしさを覚える。
もう10年以上前の出来事だっただろうか。
かつてその身に宿らせた物の名が脳裏をよぎった。
変異体であれば、あの風と同等の効果があっても然るべきだろう。
「―――さぁて 次はどこからの客だ?客を呼んだ覚えはねぇんだがなぁ」
対峙している奴ら以外からの視線を感じ、小さくため息をはく。
まったく、今日はよくつけ狙われる日だ。
殺気とはまた違う視線、どうやら賞金狙いではなさそうだ。
バチィッ!!
一瞬の放電。
電気は凍える空気を伝い、1呼吸おいてダンジョン内に音が響いた。
『俺の邪魔はするんじゃねぇ』
その意図すら伝わらない阿呆でないといいのだが。
■お借りしました展開
業務日誌 : 11頁目【illust/59800616】
名無し【illust/57707650】
10年以上前の出来事【illust/39222024】
2016-11-05 14:40:05 +0000