【依奇棟】鬱々とした雨夜にて

羅志

窓から覗く空は重苦しい曇天。
振り切る雨は一向に止む気配を見せない。

窓に映る自分の姿に、顔は見えない。
単に雨やらなにやらのせいで陰っているから見えないのではない。
奇病の症状だ。黒で塗り潰されて、人の顔が認識できなくなる。

顔が見えないのはいつものこと。
けれど、雨のせいで気が暗くなっているのだろうか。
胸の内に、鬱々とした何かが込み上げて、溜まって、あまり良い気分にはなれない。
それを払拭させようとするかのように、深々と溜息を吐く。

「なんだか、今日は……嫌な雰囲気だなぁ」

雨のせいだけとは思えない暗い雰囲気に、どうやら彼は飲まれているらしい。
その雰囲気を纏っているのは、何なのだろう。
病院全体か?それとも……

今し方、背後を通り過ぎていった、知らない赤色、だろうか。
 
 
企画内企画「雨夜の訪問者」【illust/59777963

コガネの参加表明です。
末ID:7

Q.コガネなにやってんの?
A.窓から外見てる


コガネ【illust/59425098

#【依奇棟】#【依奇棟】雨夜の訪問者

2016-11-05 08:19:06 +0000