こちらは花冠を戴く者【illust/55830776】の第五期投票(正規投稿はこちら【illust/59438062】)をお相手様宛に改めた投稿です。
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彼の望み通りスケジュールを提出してみたら、まあ予想通りの反応が返ってきた。
提出した用紙を握る手をプルプル震えさせ先日と同じように眉間に深い皺を刻みつつも冷静な言葉で指摘してくる様子が少し面白い。などという感想はもちろん顔には出さない。
提出したスケジュールは、もちろん嘘ではないが全てが本当ではなかった。
私のスケジュールは加護星の告げる「出会い」「出来事」に左右される。
人の集まる場所ならば待ち人が来るまで飲み、星の声によって目を覚まし、充実した一日を過ごすために仕事をし、一日を終える。
ただ、それを真面目に書いても彼の反応が芳しくない予感がしたから少し言葉足らずにしてみた。
予想通り、先日と同じように私に説教をしてくる彼はとても活き活きしていて見ていて飽きない。
私がこらえきれずに笑みをこぼした所を訝しむ目で見られたので、今度は私から彼の私生活について聞いてみた。
彼の口が、あまりにすらすらと細かいスケジュールを紡ぐのを見て本当に普段から寸分違わない生活をしていることが伺え、こんな人種もいるのだなと素直に関心してしまった。
その上で、今度芽生えたのは悪戯心。
「なんだい、君は飲む楽しみを知らないのかい?
押し付けはよくないと私も思っているけど、誰かと飲む酒の美味さは知っていて損はないと思うよ。
ちょうど行きつけの酒場は近所にあるんだ、私と行けばいい酒をサービスして貰えるから行こう。さあ!」
――― それから数時間後、まさか彼があんなことになるなんて……!
普段あんなに規律・節度・風紀委員な彼が!
あまりに愉快な出来事、一生忘れられそうにない。
それに、もごもごと感想を告げてきた彼の少し肩の力の抜けた様子を見て私も気分が良かった。
私が頑なだった彼を変えつつある。その事実が嬉しいのだ。
内密に!と頼み込む彼にかける言葉を思案した後、小さく笑って答える。
「それじゃあこれは二人だけの秘密だね。私が誰かに喋るときは君が私のことを放り出した時だ。
……いやいやこれは脅迫じゃないからそんな顔しないで頂戴な!
ああもう、君にはストレートに言った方がいいのかい……?
イドランギオン、君にはこのままずっと私の手を離さずに居て欲しいんだ……」
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「君のその、背筋を伸ばして規律を守る精神、とても尊敬しているよ。
ただ、私の前じゃ少し、別の顔も見せてくれると嬉しい。出来れば、あの時のように。
……君が真面目な顔でじっと見てくるから恥ずかしくなってきたじゃあないか!」
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投票者:紫禧栄【illust/59419501】
お相手様:イドランギオン・クゥルガーさん【illust/59437537】
お花と一緒に美味しいお酒の入った小瓶を贈ります。素敵なご縁をありがとうございます!
このお花は「クレマチス」です。
2016-10-20 15:14:48 +0000